麻倉怜士のデジタル閻魔帳
有機ELにスマートテレビ、そして注目の新技術――2013 International CES総括(2)(1/3 ページ)
1月8日から11日まで米ラスベガスで開催された「2013 International CES」。昨年は大画面有機ELテレビを披露した韓国メーカーが話題をさらったが、今年はソニーやパナソニックが大きな存在感を示した。前回に続き、AV評論家・麻倉怜士氏のリポートをお届けしよう。
――前回は4Kテレビの動向をうかがいました。後編では有機ELテレビからお願いします。
麻倉氏:まず、昨年の「2012 International CES」で55V型有機ELテレビを相次いで発表した韓国メーカーですが、このうちLGエレクトロニクスは1月3日から韓国内で販売を始めました。55V型で1万2000ドルと安くない製品ですが、発売から5日間で30台を販売したと聞いています。これは近々、日本でも販売するのではないでしょうか。
一方のサムスンは、思うように歩留まりが上がらず、製品の発売には至っていません。LGは白色の有機ELにカラーフィルターを組み合わせたものですが、サムスンはRGBの有機EL素子を使うため、製造工程が複雑になります。LGは蒸着方式で、有機ELパネル自体はバックライト発光のため、断然作りやすいのですね。LGに話を聞くと、「RGB方式も試したが、難しすぎてあきらめた」といっていました。もっとも、色域を比べると、白色LED+カラーフィルターのLG方式はNTSC比で118%、RGB方式のサムスンは125%となります。色再現ではRGBのほうが有利です。
ただ、今回のCESで一番人気だったのは韓国メーカーではなく、ソニーとパナソニックでした。ソニーは1月7日に4K対応の56V型有機ELテレビを披露しました。これは台湾AUOのガラス基板にソニーのTFTをかぶせたもので、有機EL層は蒸着方式で形成します。白い有機ELにカラーフィルターを組み合わせた方式ですね。
パナソニックもガラス基板はAUO製で、TFTはソニー。その上の有機EL層をRGB印刷方式で作ります。4K解像度を持った自発光デバイスなので、ダイナミックレンジが広く、解像感も高いのが特長です。同社は当面、民生用には出すつもりはないといっていますが、表示した映像はとてもきれいでした。
また画質面では、昨年は韓国メーカーがさかんにコントラストを強調していたのですが、今年のソニーは精細感とコントラストを同時にアピールしていたのが印象的でした。例えば、「CineAltaカメラF65」で撮影した「リオのカーニバル」の映像は、金や銀の衣装にライトの光が反射してたいへんきらびやか。白ピークが立っていて、初代「XEL-1」をほうふつとさせます。非常に驚きました。
――今年は日本メーカーががんばりましたね
麻倉氏:昨年は韓国メーカーが元気でしたが、日本メーカーも着実に進化していました。なぜ今回の試作機が56V型かといえば、昨年の55V型を超えるため。でも、そんなに大きなものは作れないので、“ぎりぎり世界一”の56V型になったのです。
ところで、ソニーの平井さんのプレゼンで有機ELテレビを紹介したとき、画面に映像が映らなくなるトラブルがありました。映像を送り出すPCがリブートしてしまい、なかなか復帰しなかったのですが、平井さんは慌てず「画面が暗くても、とてもきれい」とフォローしました。デモンストレーションの担当者はさぞ怒られただろうと思って後で平井さんにたずねたところ、「あんなことでは怒りません。E3(世界最大のゲーム展示会)のプレゼンでゲームが動かないなんていうのは日常茶飯事です」とゲーム出身らしいコメントをしていました。
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