ITmedia NEWS >

中国メーカーの躍進と日本メーカーの本気、4Kテレビ最新事情――CES総括(1)麻倉怜士のデジタル閻魔帳(1/3 ページ)

» 2013年01月31日 15時36分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 1月8日から11日まで米ラスベガスで開催された「2013 International CES」。昨年は大画面有機ELテレビを披露した韓国メーカーが話題をさらったが、今年はソニーやパナソニックが4K対応の大型有機ELテレビで存在感を示した。しかし、もっとも大きな4Kテレビを作ったのは中国メーカーだった。今年もAV評論家・麻倉怜士氏のリポートをお届けしよう。

AV評論家・麻倉怜士氏。ソニーブースの有機ELテレビの前で撮影


大画面化と4Kテレビの関係

――CESはいかがでしたか?

麻倉氏: 今回、もっとも印象に残ったのは、4Kテレビが展示会場のあちこちで見られたことです。日本や韓国のメーカーだけでなく、中国メーカーも4Kテレビを展示したことが印象的でした。2011年の“3Dテレビ”をほうふつとさせます。

 もっとも、4Kテレビは唐突に登場したわけではありません。昨年も製品を持っていた東芝は当然展示していましたし、韓国LGエレクトロニクスも試作機を披露しました。では、なぜ今年になって大きな注目を集めたかといえば、北米で“大画面志向”が広がっているからです。

 毎年、International CESの開幕直前に主催者である米CEA(Consumer Electronics Association)がプレス向けにブリーフィングを行いますが、今回は大画面化についても触れました。CEAによると、1997年時点で米国のテレビ画面は平均22インチ、2010年でも35インチと、意外に小さかったそうです。しかし、2010年以降に20インチ以下のテレビ出荷は急速に減少し、60インチ以上がぐっと上昇しました。2016年には40インチ台に中心になると予想しており、大画面志向が進んでいることがうかがえます。

CEAのプレゼン資料。大画面化と4K化が進む

麻倉氏: あわせて“Ultra High-Difinition”、つまり4Kテレビの市場は今後数年で急激に伸長するという見通しも示しています。2014年に約21万台、2015年には約74万台、2016年には約143万台。143万台といっても、米国のテレビ出荷全体の5%ですからシェアとしては大きくありませんが、金額シェアは大きい。製品ジャンルとしては急成長です。

 期間中、シャープに話を聞く機会がありました。同社は2010年に60V型、2011年に70V型、2012年に80V型と大画面モデルを投入し、2012年には60インチ以上の大画面テレビでシェアを2倍にのばしています。2013年も40%の成長を狙っているそうです。しかし、画面になると現在のフルHD解像度では画素が粗く見えてしまいます。そのため、あわせて4K化を図りたいとメーカー各社は考えています。

中国メーカーの躍進

麻倉氏: CESの展示会場では、4Kテレビをさまざまなブースで見ることができました。ソニーは「X900Aシリーズ」として84V型、65V型、55V型を発表しました。東芝は春に投入する84V型、65V型、58V型を展示。シャープは70V型と60V型です。

ソニーが発表した「X900Aシリーズ」(左)と東芝の4Kテレビ試作機(右)

 韓国メーカーでは、LGエレが84V型、65V型、55V型、サムスンは110V型、95V型、85V型をそれぞれ展示しました。先ほど触れた中国メーカーでは、ハイアールが84V型、KONKAは84V型と65V型、TCLは110V型と65V型、そしてハイセンスは110V型、65V型、58V型、50V型の4サイズです。というわけで、もっとも4Kテレビが充実していたのは、中国のハイセンスでした。4Kテレビの中で、もっとも大きい画面と、もっとも小さい画面の両方を並べていたのです。

――以前は安価な製品ばかりだったのに、中国メーカーに何があったのでしょう?

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.