iOS 9の人気「広告ブロック」アプリ、公開2日で取り下げ──「多くの人を傷付けるから」
米Appleが新モバイルOS「iOS 9」で追加した広告ブロック機能「コンテンツブロッカー」を利用するためのアプリが、既に幾つかApp Storeで公開されている。そのうちの1つで、米国でiOS 9のリリース当日である9月16日(現地時間)に公開後、すぐに有料アプリランキングで首位を獲得した「Peace」(2.99ドル)が18日にApp Storeから取り下げられた。
コンテンツブロッカー機能は、AppleのWebブラウザ「Safari」で表示するサイト上の広告を表示させず、クッキーによる追跡も遮断できる機能。利用するには、Peaceのようなサードパーティー製のアプリ(Safariの拡張機能)をインストールする必要がある。
コンテンツブロッカーを有効にすれば、わずらわしい広告が表示されないだけでなく、ページの読み込みも速くなり、広告を悪用するマルウェアも回避できるなど、ユーザーにとっては便利だが、一方、広告を主な収入源としてコンテンツを製作・無料提供しているWebサイトにとっては売り上げ減に直結する。
Peaceの開発者であるマルコ・アーメント氏はアプリを取り下げる理由として、このアプリでは行儀の良い広告(小さなバナー広告など)も悪い広告(いきなり全画面を占領したりユーザーをしつこく追跡するものなど)も同じに扱っており、これをホワイトリストなどで調整することは可能だが、自分が何をブロックすべきかの決定者になるのは気分のいいものではないから、と説明する。
「広告ブロックアプリは多くの人々に便利さをもたらすが、一方で攻撃されるべきではない人々を傷付けもする」(アーメント氏)
アーメント氏は「広告ブロックは(ユーザーとパブリッシャーの)戦争の一種」だとして老子の道徳経の「勝ちてしかも美ならず、しかるにこれを美とする者は、これ人を殺すを楽しむなり」という言葉を引用し、勝っても楽しくないから戦場から離脱するという。
同氏はそれでも、広告ブロックは必要なものであると信じており、Peaceの競合である「Purify」と「Crystal」を優良アプリとして推奨するとしている。なお、既にPeaceを購入したユーザーは払い戻しが可能で、今後アプリのアップデートはないが、そのまま利用できる。
Crystalは日本でも120円で販売されており、本稿執筆現在、App Storeの有料アプリランキングで首位だ。
一方、広告を主な収入源とする側(米Googleやパブリッシャー、メディア)も既に広告ブロックへの対策を始めている。GoogleはiOS 9がリリースされるより前に、結果的に広告が表示されなくなる場合があるiOS 9の「ATS(App Transport Security)」を回避にする方法を公式ブログで説明した。広告ブロックアプリをインストールしていてもGoogleの広告ネットワークの広告が表示されるという報告もある。
また、米The Loopによると、米Cnetの記事を広告ブロックを有効にしたiOSのSafariで表示しようとすると、広告ブロックを無効にするよう告知が表示され、記事が読めないという。広告を見るという“対価”を払わないのであれば、コンテンツを提供しないということだ。
この“戦争”は長引きそうだ。
変更履歴:当初Googleがコンテンツブロッカーを回避する方法を説明したとしていましたが、ATS(App Transport Security)を回避する方法の誤りでした。お詫びして訂正いたします。[2015/9/21 19:40]
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