「Watson」日本語版APIを提供スタート 三菱東京UFJ銀行、第一三共など導入へ(1/2 ページ)
日本アイ・ビー・エム(IBM)とソフトバンクは2月18日、IBM Watsonを活用したアプリケーションの開発に利用できる6種類のAPIの日本語版の提供を始めた。
(1)あいまいなニュアンスを含む自然言語の内容を理解する「Natural Language Classifier」(自然言語分類、NLC)、(2)個々の話者に合わせて自然な会話を生み出す「Dialog」(対話)、(3)機械学習を活用し、検索の精度を向上させる「Retrieve and Rank」(検索・ランク付け)、(4)PDFとHTMLなど異なるフォーマットの言語を変換する「Document Conversion」(文書変換)――といった言語関連のAPIに加え、(5)「Speech to Text」(音声認識)、(6)「Text to Speech」(音声合成)という日本語でのスピーチを可能にするAPIも提供する。
日本IBMの吉崎敏文ワトソン事業部長によると、APIは「日本の市場ニーズがあり、言語依存度が高いもの」を優先的に選定したという。オペレーターや営業に業務内容のアドバイスを行うほか、24時間・場所を問わず、人間の業務を代行できる可能性も秘めている。
現時点で、国内150社以上がWatsonの導入を検討し、数十社が採用を決めている。そのうち三菱東京UFJ銀行は、LINE公式アカウント上のQ&AサービスにWatsonを組み込み、18日から提供をスタートする。
例えば「主人の名前で振り込みたいが、何を持っていけばいいの?」という質問に対しても、「口座名と異なる人間が振り込む」という言外のニュアンスをくみ取り、可能性の高い回答を3種類提示する。そのほか、投資信託に関する相談サービスや、ロボットと組み合わせた窓口業務などの活用を検討しているという。
製薬会社の第一三共は、医薬品開発プロセスの短縮にWatsonを応用する。新薬の開発は、膨大な分子レベルの疾患情報を基に、100万個以上の候補から薬効の高い化合物を探し出す――という「センミツ」が当たり前で、1種類の製品開発に10年以上、1000億円超を投じている。しかしWatsonに過去の研究データを集積し、期間・費用の短縮を狙う考えだ。
人工知能アプリ「SENSY」を手掛けるカラフル・ボードは、ユーザーの要望に応じてファッションをレコメンドするサービスを展開する。「明るめの服がいい」などの不明確な言葉を理解するとともに、個々のユーザーの好みを学習し、精度を高めていく「パーソナル人工知能」の開発に生かす。
米IBMとソフトバンクが昨年2月に共同展開を発表して以来、システム構築や日本語対応を日本IBMが、インフラ整備やマーケティングをソフトバンクが受け持ち、二人三脚で正式なリリースに至った。
日本IBMは今後、Watsonの技術開発に携わるエンジニアを3倍に増員するほか、社内ハッカソンを活用し、100以上のユースケースを作成するなどの展開を予定。ユーザーから寄せられるクラウド製品に関する問い合わせに、Watsonが自動応答する取り組みもすでに始めているという。
ソフトバンクは、Watsonを社内の業務サポートに応用する「ソフトバンクブレーン」の構想を発表。過去に作成された営業の提案書の中から、関連性が高い資料を参照したり、製品のデモ機の貸し出し状況・申請フローを提示したり――といった“究極のアドバイザー”を想定する。
同社の宮内謙社長は、テクノロジーによって経営を効率化させる「スマート経営」を掲げ、「その考えに最もWatsonがフィットしている」と説明。社内では、Watsonを活用した6つのプロジェクトを計画中だと言い、将来的には「全国のソフトバンクショップ、2000店のPepperにWatsonを導入し、よりスマートなスタイルに」(宮内社長)と展望を明らかにする。
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