なぜ今、「転売NO」と訴えたのか――チケット高額転売問題、音楽業界の“本音”(1/5 ページ)
「チケット高額転売に反対します」――音楽業界4団体が8月、100組以上のアーティストの賛同を得て発表したこんな声明が、ネットで議論を巻き起こした。
ライブチケットを買い占め、価格を釣り上げて転売する“ダフ屋”行為を批判し、「チケット転売問題をみんなに考えてほしい」と訴えたこの声明。賛同の声が多く寄せられた一方、「転売問題は何年も前からあったのに、なぜ今さら?」「ニーズの高いチケットが高額になるのは当然の市場原理では」など疑問も上がった。
音楽業界はなぜ今、「転売NO」と訴えたのか。転売チケットの問題点と解決策は――声明を出した4団体の1つ、コンサートプロモーターズ協会の石川篤総務委員(ディスクガレージ常務取締役)に聞いた。
チケット高額転売、問題点は
――チケット高額転売の問題点はどこにあるのか。
悪質な業者が転売目的でチケットを買い占め、本来欲しい人の手に届かなくなっている。業者はチケット購入サイトに何百も会員登録し、専用プログラムを使うなど特殊な方法でチケットを買い占め、「チケットキャンプ」など転売サイトで高額転売する。あるアーティストの公演では、チケットの3分の1が転売サイトに出品された例もある。
転売サイトの存在が、転売チケット全体の相場を上げてしまう問題もある。転売サイトの出品額は、売る側の言い値だ。数十万円など極端な高額で出品されることで、実際の取引価格とは別に心理的な相場観ができあがり、転売チケット全体の価格が上がっている面がある。
せめて数千円プラスして売るならまだいいが、元のチケットの10~20倍の価格で売られてしまうと、コンサートに10~20回行けたはずの人が1回しか行けなくなり、グッズなどの購入予算も奪われてしまう。結果として音楽業界にお金が回らなくなり、業界を衰退させる。
「転売NO」、きっかけは「チケットキャンプのCM」
――チケット転売問題は以前からあった。「転売NO」の声明を、今出したのはなぜか?
過去十数年、音楽業界は、CDから主な収入を得てきた。だが、CDの売り上げが減少し、ライブが大きな柱になってきた今、いかにライブで収益をあげるかを考える必要が出てきた。そのため、日本音楽制作者連盟(ミュージシャンが所属する事務所で構成する業界団体)と、コンサートプロモーターズ協会(プロモーターで構成する業界団体)が昨年初頭ごろから、定期的にビジネス検討会を行ってきた。
そんな中、昨年7月、チケットキャンプがテレビCMを打ち始めたことで、話し合いの場が転売対策を考える場に変わった。
――「ヤフオク!」や「チケット流通センター」など、チケットキャンプ以前にもライブチケットの転売は行われていた。なぜ、チケットキャンプのみを問題視するのか。
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