プロサッカークラブが“ゲーム”に参入する理由は? 「東京ヴェルディeスポーツ部門」設立の狙い
東京ヴェルディ1969フットボールクラブは11月22日、9月に参入を発表していた「eスポーツ」チームの活動内容を発表した。新たにチームエンブレムを作り、ユニフォームはサッカー部門と同じものを採用。海外ではプロクラブがeスポーツに参入する例が増えているといい、海外チームとの交流も視野に入れて取り組んでいく。
eスポーツは、野球やサッカーなど一般のスポーツと同様に、競技としてコンピューターゲームの腕を競い合うもの。ヴェルディは、サッカーゲーム「FIFA」のプロチームを設立し、専属プレイヤーを公募していた。
肉体派であるプロサッカークラブが、競技としてコンピューターゲームの腕を競うインドアな「eスポーツ」に参入するのは不思議に思える。しかし、海外に目を向けると状況は違う。今年に入ってから欧州の「マンチェスターユナイテッドFC」「バレンシアCF」など、サッカーに限らず名門のプロスポーツチームが続々とeスポーツに参入している。
同クラブのeスポーツ参入には、こうした海外の先行事例が大きく影響したという。東京ヴェルディeSports部門担当の森太郎さんは「eスポーツ参入へのリサーチを進める中で、海外チームの事例が大きな動機付けになった。これはいけると。いずれは海外のeスポーツチームと交流ができれば」と話す。
部門新設に当たり、国内外で大会出場実績のあるプロeスポーツチーム「Unsold Stuff Gaming」を運営するブレイクスルーと業務提携。既にノウハウを持っている企業らをパートナーに迎え、日本のeスポーツリーグや国内外への大会出場、イベント開催などを通じ、サッカーファンとゲームファンの交流を促進、ブランド力の向上を狙う。
ネガティブな反応が多いと思ったら……
東京ヴェルディがeスポーツ参入を発表したのは9月。検討から正式決定の期間はわずか1カ月程度だったという。「当初は(SNSなどで)ネガティブな反応が多く占めると考えていた。しかし、ふたを開けてみれば意外と好感触で……」(森さん)。
発表当初のニュースに対し、ネットでは「スポーツ組織がeスポーツ参入は面白い」「いい動き」といった好印象な反応も多かった。一方、中には「(eスポーツよりも)フットボールに投資してほしい」という声もあったという。だが同チーム経営企画部の常田幸良部長は「そこまで(eスポーツに)お金をかけるわけではない」と強調する。
「事業採算性、身の丈に合った運営を行っていく。赤字ではないということを見せられれば、他クラブチームもeスポーツ参戦といった追従があるのでは。楽しみにしている」(常田部長)。
eスポーツ部門の主な収入源はスポンサーによる広告収入を想定。大会の賞金による収益などは考えていないという。
「ヴェルディにとってeスポーツ参戦は大きなチャレンジ。クラブの魅力や価値に興味を持っていただく良い機会になるのでは。そしてリーグで戦う以上は強いチームを作らなくてはいけない。選手には東京ヴェルディとしてふさわしい選手になってもらいたい」(常田部長)。
チームの管理や強化はブレイクスルーがサポートするほか、ゲーミングPCなどの機材はレノボ・ジャパンとトラスト・ゲーミングが提供。プロモーションやイベントの企画運営などは、“eスポーツ業界専攻”を設けている「東京アニメ・声優専門学校」と産学提携パートナーを結んだ。
eスポーツ部門の選手が着るユニフォームもサッカー部門と同じデザインを採用。東京ヴェルディファミリーの一員であることを強調する。「東京ヴェルディが本拠地とする味の素スタジアムで、サッカーの試合とeスポーツの大会を同時に行ったら面白いかもしれない。サッカーファンとゲームファンが交流することで、もっと東京ヴェルディを好きになってもらいたい」(森さん)。
海外では大会に高額な賞金が設定されるなど、大きな盛り上がりをみせるeスポーツ。国内では認知度が低く、まだ発展途上といえる。東京ヴェルディも手探り状態であることは否めないが、プロのスポーツチーム参入によって今後の盛り上がりに注目が集まりそうだ。
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