“攻め”のウォークマン「A40」――外音取り込みにMQA再生も(3/3 ページ)
会場で試聴してみた
会場に展示された実機に、筆者がふだんから使っているハイレゾイヤフォンのAKG「N30」をつないで、マイケル・ジャクソンの「Beat It」を聴いてみた。
定位の鮮明さだけでなく、S/Nの向上と空気感のリアリティーが格段に向上した手応えを感じる。ボーカルの微妙なニュアンスの変化をしっかりとフォローできるし、ズシンとした厚手のある低音を打ち込んでくる。大庭氏に確認したところ、ヘッドフォン出力の値はA30シリーズと変わらないという。その理由は「フルデジタルアンプのS-Master HXのICを、基板に接続する“はんだ”にソニーが独自に開発した“高音質はんだ”を使っているから」であると大庭氏が説明する。
このはんだは昨年に発売されたフラグシップモデルである“Signatureシリーズ”「NW-WM1」に採用したものと同じだが、A40シリーズと同日に発表された新製品の「NW-ZX300」から半導体と基板をつなぐ“はんだボール”に用いることで音の透明感と艶に特別な変化を与えている。ソニーのエンジニアが半導体メーカーと緊密に連携しながら、音質の基礎部分で妥協することなく高い音質を追求してきた成果」だと大庭氏は強調する。実際、S/Nの高さと低音のスピード感、鮮烈なボーカルのイメージには大きな差を実感することができた。A30シリーズと比べて“底力”の部分で着実なステップアップを遂げているといえそうだ。
再生できるハイレゾ音源のフォーマットはNW-A30シリーズから変更なく、リニアPCMは192kHz/32bitまで、DSDは最大11.2MHzのDSDファイルを176.4kHz/32bitのリニアPCMに変換して再生する。DSD再生時に有効になるフィルターやゲイン設定も引き続き搭載している。
元がハイレゾ音源でないCDリッピングや圧縮のかかったMP3音源などを再生した場合でも、ウォークマンの側でハイレゾ相当の音質にアップスケーリングしてくれる「DSEE HX」も引き続き搭載している。さらに機能面では新しくPCと付属のUSBケーブルで接続してUSB-DACとして使えるようになった。PCで音楽配信のコンテンツを再生して、DSEE HXで良い音にアップスケールして聞く楽しみが増えた。
Bluetoothによるワイヤレス再生は、標準的なSBCよりも多くの情報量を扱えるソニー独自のコーデック「LDAC」を引き続き採用するほか、新たにクアルコムの「aptX HD」にもソフトウェアアップデートにより対応が広がるという。LDAC、aptX HDともにプレーヤーからワイヤレスで飛んでくる音楽信号を受けて再生できるヘッドフォンやイヤフォン、ワイヤレススピーカーが必要になるが、今年のIFAで発表されたソニーのBluetooth対応ヘッドフォン、イヤフォンは多くがLDACとaptX HDの両方に対応している。送り出し側であるウォークマンで設定したコーデックで受けて再生する形になるが、これからさらにワイヤレスでの音楽再生が楽しくなりそうだ。
内蔵バッテリーのスペックはA30シリーズと変わっていない。FLAC 96/24再生時に、デジタルNCをオンにして約33時間、オフでは約39時間としている。
今後のウォークマンが取り組むべき課題
これからの音楽再生のメインストリームを考えるのであれば、やっぱりWi-Fi接続と音楽配信サイトへの接続機能、そしてさらに先の将来にはSIMを装着して単体でインターネットにつないで様々な音楽コンテンツにアクセスできる機能も特にAシリーズの場合は柔軟に吸収してほしいと思う。
ソニーがIFAで発表したGoogle Assistantに対応するスマートスピーカーが今後ブレイクしたら、音楽コンテンツはクラウドに置いて、聞きたい時にアクセスして楽しむスタイルがより一般的なものになるかもしれない。その時はDAPも同じ使い方ができなければ不便に感じられてしまう。大庭氏は、Wi-Fi機能の搭載やストリーミング音源への対応は「今後、ウォークマンが取り組むべき課題として捉えている」と語った。
何はともあれ、音質に着実なステップアップを感じる新しいAシリーズは満足度の高い製品に仕上がりそうだ。日本国内にも導入が予定されているようなので、ぜひ多くの方がその音に耳を傾けてほしいと思う。
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