これからのAIの話をしよう(言語編・前編)
人工知能は「美魔女」という言葉を生み出せるか 雑誌編集者×AI研究者、異色対談(1/4 ページ)
人工知能(AI)の研究を進めるほど、人間の研究に否が応でも取り組まざるを得ない。これは多くの人工知能開発に携わる研究者が口にする言葉です。
ある問題に遭遇すると、なぜ人工知能はできないのかを考えるより、なぜ人間はできるのかを考えた方が再現性は高く確実です。しかし、そもそも人間が「なぜできるのか」を言語化できていない場合も多く、人工知能と人間の研究を交互に行う機会も少なくありません。
例えば芸術家は他の人と同じように生きているはずなのに、なぜずぬけた創造性を発揮できるのでしょうか。理論的に説明できる人は少ないと思います。
「ディープラーニングはブラックボックスだ」と批判する人も大勢います。しかし、人間だって行為の多くがブラックボックスで、なぜできるのかを説明できません。少し不公平ではないでしょうか。
そこで今回は、「STORY」「美STORY」(現美ST)、「DRESS」などの女性誌を創刊して編集長(当時)を務め、「美魔女」という極めて優れた言葉を造り出した編集者の山本由樹さん(参考リンク:アミューズ、山本さんが社長を務める「編」)と、AIコピーライター「AICO」や「人狼知能」、「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトなどに携わり、自然言語処理の研究を行う静岡大学情報学部行動情報学科の狩野芳伸准教授(参考:研究内容)による、「人工知能は人間と同じような創造性を発揮できるのか?」をテーマにしたディスカッションをお届けします。
(編集:ITmedia村上)
どのようにして「美魔女」という言葉は生まれたか?
――(聞き手、松本) 光文社の女性向け美容雑誌「美STORY」(現・美ST)の編集長だった山本さんは「美魔女」という言葉を生み出し、社会的なブームを起こしました。創造性の極みのような「美魔女」というフレーズを、人工知能でも生み出せるのかが今回のディスカッションの趣旨です。まずは、どういう経緯で言葉が生まれたのかを教えてください。
山本さん(以下、敬称略) 40代向け女性ファッション誌「STORY」という雑誌の編集長をしていたころ、45歳以上の読者が減るという現象が起きていて、その理由を知るためにインタビューをしました。そこで、45歳の成城に住んでいる品の良い奥さんがこう言ったんです。
「自分が若くあるために、洋服じゃなく美容にお金をかけるようになった。洋服だといくら若くしても、逆に自分の老いが目立ってしまう。洋服は来年着られるか分からないけど、美容は来年の自分のための投資になる」
彼女は月に5万円ぐらいを美容に投資していました。そのときに45歳以上のための美容誌を創ろうと考えました。それから「美STORY」の創刊準備が始まります。
ある日、40代女性の写真を並べて記事の構成を考えていました。みんな若いんです。ふと「この人たち、何やったらこんな若くてキレイなんだ?」と聞くと、取材に行った記者が「みんな何もしていない」って言うんですね。
何もしていなくて、こんなに若くてキレイなのは本来ならあり得ません。「もし本当に何もしていないなら、魔法を使っているんじゃないのか?」と考えました。その瞬間に「魔法を使っているならみんな魔女だよね。美しいから、美魔女にしよっか」と。
―― 美しいとは言いますが、魔女という言葉が持つイメージは「老婆」です。捉えようによっては悪口になってしまいます。「美魔女」と呼ばれるようになった美し過ぎる40代女性は、当初どのようなリアクションだったのでしょうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
これからのAIの話をしよう
いま話題のAI(人工知能)には何ができて、私たちの生活に一体どのような影響をもたらすのか。AI研究からビジネス活用まで、さまざまな分野の専門家たちにAIを取り巻く現状を聞いていく。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
6
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
7
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
8
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
9
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR