増益のソフトバンク、孫社長は「ビジョン・ファンドの成果が現れ始めた」
ソフトバンクグループが8月6日に発表した2018年4~6月の連結業績は、営業利益が7149億円(前年同期比49.2%増)だった。「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(いわゆる10兆円ファンド)の評価益などが2399億円を占め、全体の増益をけん引した。孫正義社長(兼会長)は「ビジョン・ファンドの影響が日に日に高まっている」と自信を見せる。
孫社長は「単なる投資会社になった覚えはない」と強調する。同氏が見据えるのは、これから数十年以内、ほとんどの産業分野で人工知能(AI)が人間の能力を上回る——という世界だ。そこでビジョン・ファンドを通じ、各分野でAI関連サービスに注力するトップランナーともいうべき企業に投資し、ファミリーに迎え入れる“AI群戦略”を展開する。
「投資先を増やし、世界で最も多くのユニコーン企業(企業評価額が10億ドル超の非上場企業)をグループ化する。続々とファミリーに加わった企業が今後日本に上陸し、新しいビジネスモデル、テクノロジー、サービスを提供し、産業を変えていく」(孫社長)
投資事例の1つとして、孫社長はOYO Indiaを挙げる。インド国内で“次世代型ホテル”を経営するベンチャー企業だ。地元ホテルをOYOブランドに取り込み、直近2年間(16年6月~18年6月)で、取り扱う部屋数は1000から10万に拡大。同国内でトップに躍り出た。
ポイントは、従来3~4割だった部屋の稼働率を7~8割まで高めたことだという。その背景にあるのが、AIを活用した需要予測の仕組みと、需給に応じて価格を変動させるダイナミックプライシングだ。ホテル周辺のイベントや天気、曜日などを基に、1日当たり4300万回も価格を調整しているという。
この他、同様にAI技術を活用し、スペースや料金の最適化を図るというシェアオフィスのWeWork、自動車保険の査定時間を3日間から3時間に短縮したpolicy bazzar——などの事例を、孫社長は紹介する。「若い起業家がAIを使うことで、古くからある産業の仕組みを塗り替えている」
孫社長は、次のように振り返る。「ソフトバンクは、創業初日から情報革命の会社だ。最初はPCソフトの卸業、出版が売り上げの99%を占めていたため、そうした“目に見える事業”が本業だと思われていたが、私は本業とは思っていなかった。だからインターネットの誕生とともに真っ先に比重を移した。インターネット関連の売上が1%しかなくても、私は99%の時間と頭をインターネットに割いた」
その後も、環境の変化に合わせ、ブロードバンド、スマートフォンと“本業”を変え、成長を続けてきたソフトバンク。孫社長は「同じことをもう一度やろうとしている。売上・利益に貢献していなかったAIに比重を移す」と話す。
「AIを制するものが未来を制する。今回の決算では、ビジョン・ファンドのこれからの成果の先駆けが、増益部分として現れ始めたと受け取ってほしい」(孫社長)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
-
2
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
3
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
4
Apple、「iPad mini」を大幅刷新 8.5インチOLEDとA20 Pro搭載、防水にも対応 11万9800円から
-
5
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
6
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
7
ジョーシンへの不正アクセス、最大623万件漏えいか 運転免許証2件・マイナカード1件なども
-
8
グッスマに不正アクセス、公式EC閉鎖 会員の住所や注文履歴など漏えいか 再開目処立たず
-
9
野村総研、サイバー攻撃時の「能動的なシステム停止」を支援する新サービス
-
10
タイムズカー流出で顧客らが損害賠償求め運営会社提訴へ サイト開設の弁護士が記者会見
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR