理研、創薬専用スパコン開発 「RISC-V」アーキテクチャ採用、10万原子の挙動再現
理化学研究所は11月18日、水やタンパク質など分子の動きのシミュレーションに特化した専用計算機「MDGRAPE-4A」を開発したと発表した。1秒間に約1300兆回(1.3ペタフロップス)の計算が可能で、タンパク質と薬剤、水分子などを合わせた計10万個の原子の動きを、現実的な時間で解析できる。「創薬の可能性を広げるもの」と理研は期待を掛ける。
理研の研究チームは、原子間に働く力の計算に特化したアルゴリズムと専用ハードウェアを開発。専用計算のプロセッサには、オープンソースのアーキテクチャ「RISC-V」を採用した。「RISC-Vをベースとする実用大規模システムとしては世界初」(理研)という。
これにより、汎用のスパコンではこれまで計算に1年3カ月掛かっていた10万個の原子の100マイクロ秒間のシミュレーションを、3カ月に短縮できるとしている。
創薬探索をスパコンで計算するメリットの一つは、新薬の候補となる分子を実際に合成しなくても、構造式だけでその標的となるタンパク質との相互作用や構造変化を調べられること。
しかし、タンパク質を構成する原子の数や、タンパク質に作用する新薬の分子、水分子の数は膨大で、それらのシミュレーションには膨大な計算が必要となる。
理研は、「既存の手法では、スパコン(専用計算機)の性能が上がっても、残りの計算を汎用コンピュータで行う関係で、計算速度が頭打ちになっていた」と、これまでの計算方式の問題点を解説。
「MDGRAPE-4Aでは、専用計算回路と汎用計算部分など計算の全てをSoCにまとめ、ボトルネック解消を図った」(同)という。
理研は、「分子動力学(原子の動きのシミュレーション)の計算でハードウェアとソフトウェアの両面を統合して開発を進めているのは米D.E.Shaw研究所と本研究チームのみ」と自負。「今後も人工知能への応用や、専用回路と汎用回路の結合による大規模システムの開発を進めていく」としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
大阪公立大、システム障害で1週間近く休講に 出願期間中で入試にも影響
-
2
個人向けGeminiのモデル選択が厳格化 無料ユーザーが使えるのは「Flash-Lite」のみに
-
3
大和証券、22万件情報漏えいか 顧客約11万人の口座番号も
-
4
「Androidのマイナンバーカード」提供へ 20日から 物理カードなしでも本人確認など可能に
-
5
日経社員のGoogle Workspaceに不正ログイン 1646人分の個人情報漏えいか
-
6
渋谷区でシステム障害、窓口業務を縮小 復旧の見通し立たず
-
7
「OpenAIの文化は壊れている」──安全性報告書を統括した従業員が退社し、寄稿
-
8
タイムズカー漏えいで集団訴訟の動き、登録3000人弱 呼び掛けた弁護士に聞いた──「謝罪で済む案件ではない」
-
9
パチンコ店の入場抽選アプリ「777CON-PASS」に不正アクセス 行動エリアやプロフ写真など流出か
-
10
日本交通、不正アクセスで停止していた「電話でタクシー配車」再開へ 約3カ月ぶり
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR