7つに増えたiPhone、後悔しない選択のポイント 5GよりSoCやメモリに注目(2/2 ページ)
「iPhone 12」と「iPhone 12 Pro」で迷ったら
iPhone 12とiPhone 12 Proは画面サイズが全く同じで、どちらもディスプレイはOLED(有機EL)を採用した。外形はカメラ部を除いて全く同じ。保護カバーも同じものが利用できる。では何が違うのか。
まずフレームの素材が異なる。iPhone 12はアルミフレームだが、12 ProはPVA処理が施されたステンレス。Apple Watchのステンレスケースでも使われている仕上げで、高級感は高い。
とはいえアルミフレームのiPhone 12は質感が低いというわけではない。価格からも分かる通り、iPhone 12は上位製品だ。むしろiPhone 12 Proが極めてていねいに仕上げられたプレミアムモデルという方が正しい。
目立つ違いはリアカメラの数。iPhone 12に望遠カメラが搭載されないのは、iPhone 11と11 Proのときと同じだ。背面ガラスの処理も同様で、12はカメラ部が曇りガラス風のエッチング処理になっているのに対し、12 Proは背面全体がくもりガラス風と、処理の面積が反転している。
では、望遠カメラが必要なければiPhone 12で良いか。実は新搭載となったLiDAR(Light Detection and Ranging)スキャナーの有無が両者のカメラ性能を大きく分けている。LiDARは光学的に距離を面で計測するセンサーで、3〜5m程度の範囲で被写体との距離や大まかな形状を認識できる。測定用の赤外線は自ら発するため、暗所でも測定できる。
iPhone 12 Proは、この情報を使って暗所でのオートフォーカス性能を高めたほか、ポートレイトモードでの背景分離や被写体のライティング処理にも活用する。カメラを使いこなし、自分自身で好みの表現を追求したい人なら、今後はLiDAR搭載モデルが欲しくなると思う。
また、年内に追加予定の「Apple ProRAW」フォーマットでの記録も12 Proシリーズしか対応しない。このフォーマットはカメラRAWに対し、iPhoneのカメラが現像時に生成する分析情報(セマンティックレンダリングなどで使われる処理レイヤーのデータ)が付加されたファイル。自由にパラメーターを変更しながらRAW現像を行える上、iPhoneカメラ独自の付加価値も失わない優れたフォーマットになりそうだ。
ただし生成されるデータが多いため、RAWとともに記録するには大量のメモリが必要だと思われる。実機が出回るようになれば分かることだが、12 Proには12よりも多くのRAMが搭載されているのだと推察できる。つまり、カメラ数の違いというより、iPhoneに対してどこまでカメラとしての機能性や画質を求めるかが両者を選ぶ上でのポイントになる。
OLEDの画面輝度にも少し違いがある。iPhone 12の通常時625nitsに対し、12 Proは800nits(HDR時は両方とも1200nits)。これは最大輝度に設定した時の明るさの違いなので、そこまで明るさを引き上げなければ表示品質は変わらない。晴れの日の屋外などでは12 Proの方が見やすいことはあると思うが、常用するものではないと思っていい。
「iPhone 12 Pro」と「iPhone 12 Pro Max」の違い
iPhone 12 ProとiPhone 12 Pro Maxは大きさとバッテリー容量を除き、ほとんどの仕様は共通だ。ただ、カメラも若干仕様が異なっている。
12 Proは35mmカメラ換算で52mm(従来と同じ)に対し、12 Pro Maxの望遠レンズは65mm相当と望遠側に寄っている。使用頻度が高そうな広角カメラにセンサーシフト式の手ブレ補正が加わり、レンズシフトの手ブレ補正と協調動作する。
もう1つの大きな違いはセンサーのサイズ。12 Pro Maxの広角カメラは画素面積が47%大きく、多くの光を取り込める。このため広角カメラの画質、特に暗所での画質では優位性がある。
価格や重量は二の次で、カメラ性能やバッテリー駆動時間など、とにかく制約の少ない撮影環境を望むならiPhone 12 Pro Maxになりそうだ。
メモリ容量が重要に
アップルは自社製ハードウェア向けにiOSを開発しているだけあって可能な限り古い世代の端末まで最新iOSをインストールできるようチューニングを図る。これはユーザーが購入したハードウェアを長く使い続けられるようにという配慮に加え、OSを最新に保ち続けることで、その上で動作するアプリの開発を容易にする目的もある。
ただし機能的には端末の世代によって制約を受けたり、パフォーマンスの違いとなって現れる場合がある。AppleのSoCは、Neural Engineを搭載したA12 Bionicで一度、ニューラルネットワーク処理が大きく向上したため、A12 Bionicが搭載されていれば、当面はアプリケーションの速度やiOS最新版の機能制約を受けることはないだろう。今回の7製品はすべてA12 Bionic以上を搭載した。
問題は搭載するメモリの容量だ。写真の画質を高めるコンピュテーショナルフォトグラフィーは、メモリ上に多くの情報を展開する。現行ラインアップのうち、iPhone SEとXRは搭載メモリ(RAM)が3Gバイト。iPhone SEがナイトモード撮影できないのは、十分なフレーム数のバッファを持てないためだろう。
現行のiPhone 11シリーズはProも含めて4GBのメモリを搭載している。これはiPhone 12でも引き継がれていると推測しているが、Apple ProRAWなどに対応するiPhone 12 Proシリーズはメモリが6GBに増量されていてもおかしくない。最新機能を制約なしで使ってみたい人は、詳細なスペックを確認してから選んだほうが良いだろう。
【訂正:2020年10月16日13時10分更新 ※iPhone 12 Pro Maxのカメラに関する記述を追加しました】
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