新連載「“PC”あるいは“Personal Computer”と呼ばれるもの、その変遷を辿る」
“PC”の定義は何か まずはIBM PC登場以前のお話から(2/3 ページ)
PCの歴史(IBM PC以前)
時系列でいくつか紹介すると、
- 1975年1月:米MITSが「Altair 8800」を発表。世界最初のパーソナルコンピュータ。基本セットはS-100 Busの上に8080のカードが刺さる「だけ」という代物だ。そのS-100 BusもAltair 8800のためにMITSが開発した独自規格であるが、何しろ他に選択肢がなかったこともあり、その後、事実上の業界標準になる(さらにその後はIEEE-696として標準規格化もなされる)。ソフトウェアとしては、MicrosoftがこのAltair 8800の上で動くBASICを供給した。
- 1975年12月:米IMS AssociatesがIMSAI 8080を発表。Altair 8800によく似た構造だが、もっとビジネス向けに堅牢(けんろう)というか真っ当(まっとう)な作りになった。ソフトウェアは変わらず。
- 1976年:米Digital Research(当初の社名はIntergalactic Digital Research)が設立。同社は8bit CPU向けにOS「CP/M」を提供する。8080/8085とZ80を積んだシステムで、FDDが1台以上あり、16KB以上のDRAMを搭載していれば稼働するというもので、これに該当する多くのメーカー(次の米Cromemcoなどもその代表例だ)にCP/Mが移植された。
- 1976年8月:Cromemcoが「Z-1」を発表。構造はAltair 8800やIMSAI 8080に似ているが、Z80ベースというのが大きな相違点。1997年には後継の「Z-2」も出ている。独自のCROMIXと呼ばれるUNIX風OSの他にZ80 BasicやFortran IVが提供された。HDDが標準オプションで提供されたのも大きな進化である。パーソナルというよりはビジネス用途に利用できる製品だった。
- 1977年1月:米Commodore Internationalが「PET 2001」を発表する。搭載するのは1MHz駆動の6502で、当時としては近未来的なデザインが話題になったが、その半面、打ちにくいキーボードとか乏しいメモリなどいろいろと使いにくかった。ただ同社はこの後継として「VIC-20」というマシンを1981年に投入。これが大ヒットし、世界で最初に100万台売れたマイコンの称号を得ている。
- 1977年6月:米Apple Computerが「Apple ]」を発表。同社はこれに先んじて1976年には「Apple Computer 1」(Apple I、[サブスクではない)を666.66ドルで発売しているが、総販売台数は200台未満なのでこれはとりあえず置いておく。Apple ][は完成度の高いマシンであり、しかもFDD/HDDに対応したDOS(Disk Operating System)も提供した。さらには多くのサードパーティーがApple ][に向けた周辺機器やソフトウェアを提供した。その最大のものが米VisiCorpのVisiCalc(表計算ソフトの元祖)であり、これはAppleを大きく成長させるとともに、VisiCorpを大企業に成長させることにもつながった。
- 1977年8月:米Tandy Radio Shackは「TRS-80」を発表する。こちらもFDDやHDDが提供され、またサードパーティーも100社以上が集まり、大きく発展することになる。
- 1979年11月:米Atariが「Atari 400/800」を発表する。同社はビデオゲーム(Atari VCS)が主力製品でパソコンは二の次という扱いだったこともあり、結局ほとんど売れずに終わる。
- 1980年:英AcornがAtomを発表。この話はRISC連載の「ARMの誕生」で細かく書いたので今回は割愛。
- 1980年1月:英Synclairが「ZX80」を発売。Z80(実際にはNECのZ80互換チップであるμPD780Cを利用することが多かったらしい)ベースの小型マシンである。英国圏ではかなり広く利用され、米国や日本にも入ってきた。この後継として「ZX81」も翌1981年3月に発表される。
- 1980年5月:Apple Computerが「Apple III」を発表。まあ記録的な失敗作として有名である。こちらの記事では、Apple製品のワーストワンに堂々輝いている(?)。
といった辺りだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
“PC”あるいは“Personal Computer”と呼ばれるもの、その変遷を辿る
RISCの歴史、Apple Siliconの歩みを語ってきた大原雄介さんのコンピュータ歴史連載、テーマはズバリ「PC」だ。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
陸自が「イオンモール熊本」内部をドローン撮影 防衛省が映像公開
-
2
熊本「通れた道」マップ、トヨタが公開 ホンダも「通行実績情報マップ」
-
3
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
4
PayPayアプリで熊本地震への寄付が可能に 最短3ステップ・1円から
-
5
葛西臨海水族園のクロマグロ大量死の原因は 「複数の要因が複合的に作用」
-
6
Anthropicのミュトス、暗号アルゴリズムの新たな攻撃法を発見――耐量子署名「HAWK」の強度を半減
-
7
TSMC熊本工場、段階的に通常操業へ 熊本の地震で一時中断、従業員の無事確認 台湾報道
-
8
熊本で非常時Wi-Fi「00000JAPAN」発動中 KDDIが無料開放、他社ユーザーも利用可
-
9
イオンモール熊本内部の様子も──自衛隊や警察庁、救助活動の動画・写真をSNSで積極発信
-
10
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR