※現在Armの正しい表記は“大文字A+小文字rm”であるが、今回ご紹介する内容の時期はまだ大文字の“ARM”の時代だったので、あえて“ARM”と記述させていただいた。
アメリカではハイパフォーマンス路線に突き進むMIPSやその競合メーカーが一斉にRISCに飛びつくが、それとは別の動きがイギリスで生まれていた。
1978年、CPU(Cambridge Processor Unit) Ltd.という会社がイギリスのケンブリッジで創業した。厳密に言えば、そもそもSinclair ZX80とか、後にはZX Spectrumを世に送り出したクライブ・マールズ・シンクレア卿が興したSoC(Science of Cambridge:もともとはSinclair Researchだったが、これが改称された。ちなみにその後、再びSinclair Researchに改称している)という会社が母体というか、SoCに雇われたクリス・カリー氏とその友人のヘルマン・ハウザー氏がSoCを辞め、自身で興した会社がCPUである。
ここはマイコンを作って販売する会社であり、最初に手掛けたのはNational SemiconductorのSC/MPというCPUを使ったパーソナルコンピュータのキットであったが、間もなくMOS Technologyの6502に鞍替えする。販売会社としてAcorn Computers Ltd.を立ち上げ、この6502を使ったAcorn Atomというパソコンを1980年に発表、それなりの評判を獲得したところで、BBCとの共同プロジェクトが持ち掛けられる。
BBCは1980年代初頭、後にBBC Computer Literacy Projectとして知られるようになるコンピュータの教育プロジェクトを立ち上げようとしており、これに利用する適切なマシンを欲していた。AcornというかCPUは既にAtomの後継として、2MHzの6502を搭載したProtonと呼ばれる機種を開発中であり、これをベースにしてBBC Microと呼ばれるパソコンが1981年12月に発表、1982年から販売開始される。最終的には150万台売れたとされ、少なくともイギリスにおいてはメジャーな機種になっていた。
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