IT基礎英語
「misinformation」と「disinformation」、ネットに氾濫するディスり情報
YouTubeが新型コロナウイルスワクチンに関する偽情報を禁止すると発表した。ワクチンの影響やウイルス感染拡大を巡って、デマや陰謀論などさまざまな情報が飛び交う昨今。「misinformation」「disinformation」の言葉を目にする機会が格段に増えた。
misinformationの「mis」は文字通り「ミス」、つまり「mistake」(間違い)の意味。うっかりミス、あるいは手違いや不手際や誤解を原因とする偽情報や誤った情報がこう呼ばれる。YouTubeの場合、「ワクチンは慢性的な副反応を引き起こす」「接種した人を追跡または特定するための成分やデバイスが含まれる」「ワクチンは人口削減の陰謀の一環である」といった主張のコンテンツをmisinformationと見なして禁止の対象とする。
Specifically, content that falsely alleges that approved vaccines are dangerous and cause chronic health effects, claims that vaccines do not reduce transmission or contraction of disease, or contains misinformation on the substances contained in vaccines will be removed. (YouTube Official Blog)
「具体的には、承認されたワクチンは危険で健康に慢性的な影響を引き起こすという誤った主張、ワクチンは疾病の伝染や感染を軽減しないという主張、ワクチンの成分に関する誤った情報を含むコンテンツは削除される」
misinformationが発信者の意図を問わない客観的な表現なのに対し、disinformationは一般的に、悪意を伴う(と受け止める側がみなした)偽情報を指す。「dis」は反対や否定を意味する接頭語。英語で「disrespect」と言えば、敬意の反対、つまり相手をばかにしたり侮辱したりする意味になる。日本語の俗語の「ディスる」も、まさにこのdisに由来するらしい。ということでdisinformationは、相手を中傷したり、混乱を引き起こしたりする意図をもって流された偽情報やデマのニュアンスがこもる。
特にFacebookやTwitterなどのSNSは、ウイルスやワクチンに関するdisinformationや、政敵を陥れたり敵国に干渉したりすることを狙った政治的disinformationの温床になっているとして、以前からやり玉に挙げられていた。
Public perception of internet platforms has soured in recent years. Facebook and Twitter――which once enjoyed the public's adulation――are now seen as places where hateful content, incivility, and disinformation can flourish. (Mozillaの調査報告「YouTube Regrets」)
「インターネットプラットフォームに対する世間の目はここ数年で厳しくなっている。FacebookやTwitterは――かつては世間の称賛を浴びていたが――今や憎悪に満ちたコンテンツや暴論、デマがまん延し得る場と見なされるようになった」
もっともdisinformation合戦は今に始まったことではないらしい。Dictionary.comによれば、冷戦時代のアメリカと旧ソ連は互いに相手国を陥れる目的で、スパイ活動などを通じて故意に偽情報を流す「disinformationキャンペーン」を展開していた。時代が変わり、媒体が変わっても、デマを流す人、それを信じる人は常に存在するのかもしれない。
ところで何が正しい情報で、何が偽情報かは誰がどう判断するのか。YouTubeの場合、主に「health authorities」の見解と矛盾する内容を偽情報と見なしている。authorityは権威、つまり政府機関とかWHOとか、尾身茂さんやアンソニー・ファウチさんのような政府お墨付きの専門家のことらしい。そうした権威ある方々が流す情報が、misinformationやdisinformationでないことを祈りたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
IT基礎英語
ITmediaで海外情報を長年翻訳している鈴木聖子さんが、IT関連記事に登場する英文の中からよく見かける単語や気になった表現について紹介するコーナーです。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
防衛省の「クーラー300台」投稿動画でビックカメラのトラックが注目を集める 同社「販売用の在庫を迅速に提供」
-
2
「文スト」スマホゲーム、きょう告知→あす終了 突然のサ終にユーザー混乱 運営元の廃業で
-
3
ドコモ、ahamoを30→40GBに増量 8月1日から 料金据え置きの新キャンペーン
-
4
「楽天ドライブ」アプリから「データ漏洩」「ハッキングした」通知? 運営元「緊急調査中」「通知を開かないで」
-
5
“ダサい”不評の「ドコモの銀行」、従来のアプリアイコン選択可能に 「ご意見・ご要望も踏まえ」
-
6
イオンモール熊本のドローン捜索、状況を現場キーマンに聞いた 撮影を阻んだのは……
-
7
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
8
“脳のゴミ”は鼻から捨てられていた? 老化で詰まる排出路、薬を鼻から投与で改善 韓国主導チーム研究
-
9
光学25倍ズームのソニー「RX10 V」はもう“レンズ一体型α” 1台で何でも撮れそうな万能感に浸れるぞ
-
10
イオンモール熊本内部の撮影、国産ドローンが活躍 日本企業2社が自衛隊などと協力
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR