「署名をUSBメモリで渡す」の是非 “FAX縛り”の取材に見た、国政DXの遅れ(1/3 ページ)
国や企業などに要望を伝えるための署名活動が変化してきている。以前は、街頭で紙を使って集めるものだったが、ここ最近はオンライン署名が活発化。気軽に参加できることもあり、数十万など大量の署名が集まるケースも出てきた。
その受け渡し方法が新たな課題になっている。紙に印刷して手渡すのが今でも主流ではあるが、デジタルデータのアナログ媒体への印刷は紙の無駄でもあり、大量の紙を管理する手間と労力が、渡す側にも受け取る側にもかかってくる。
最近は、署名データをUSBメモリに格納して渡す例も出てきた。ただ、USBメモリには、情報漏えいなどのセキュリティリスクも指摘されている。大量の署名を安全に受け渡すにはどうすればいいのか。国内外の事例から考える。
54万の署名、紙だと「1万4400枚」 USBを選んだ例
9月末、インボイス制度の中止を求める有志団体「STOP!インボイス」が、オンライン署名サイト「Change.org」で54万筆超の署名を集め、USBメモリに格納して首相秘書に手渡したことが話題になった。
同団体は署名運動をスタートした2021年12月、3万筆超の署名を財務省に紙で提出。この時、発起人の自宅のプリンタでA4用紙×800枚分の署名を印刷したが「プリンタのトナーも紙も切れて大変な思いをした」という。
54万筆はその18倍。単純計算で1万4400枚分(800枚×18)に印刷することになる。A4用紙1枚の重さを約4gとすると、1万4400枚×4g=57.6kgだ。家庭用プリンタで印刷すると時間もコストもかかり、手ではとても持ち切れない量になる。
そこで同団体は、署名簿をUSBメモリに格納して渡すことにした。首相秘書には事前にUSBメモリで渡すことを電話で知らせ、了承をとったと説明する。
首相秘書とのやりとりは、こんな内容だったという。「(首相秘書に)『(署名簿は)どんな様式ですか?』と聞かれたので、『USBです』と答えたところ、『ああ、そうなんですね。段ボールがたくさんくるのかと思いました(笑)。大丈夫ですよ』と言われました」(STOP!インボイスの担当者)。
だが、USBメモリを渡したことがSNSで議論を引き起こした。USBメモリはウイルスが仕込まれていればサイバー攻撃の端緒になることもある他、受け渡しの過程で紛失のリスクもある。このため「署名を渡す手段としてふさわしくない」「かつて、首相が受け取り拒否していたのは当然」などと一部で批判されたのだ。
団体側「USBだと了承を取った」 首相秘書はFAX回答「先方の都合」
STOP!インボイスの主張によると、首相秘書は事前にUSBメモリだと知った上で「大丈夫ですよ」と言って受け取ったはず。では、首相秘書はUSBメモリのセキュリティリスクについてどう考えていたのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
3
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
4
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
5
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
6
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
7
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
8
「あ、その情報メモしたい!」を叶えるワイヤレスイヤフォン、Nothing「Ear (3a)」
-
9
有識者はGoogleやX、Meta、ドワンゴを名指しで批判……総務省、偽広告や誹謗中傷に発信・拡散前の対策求める
-
10
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR