事例で学ぶAIガバナンス
「責任あるAI」チームを再編した米Meta ビッグテックですら手探り、AI倫理に“最適解”はあるのか(1/3 ページ)
米Metaは11月17日(現地時間)、同社内のレスポンシブルAI(Responsible AI、日本語では「責任あるAI」と訳される)チームの再編を発表した。
レスポンシブルAIとは、AIの開発や運用、利用に当たり、それが倫理的に行われている状態を指す。またその実現に向けて企業が行動し、説明責任を果たすこと(例えば、関連する指針やガイドライン、ポリシー類の策定や、各種ガバナンス体制の構築・運用といった取り組み)を指す表現としても、この言葉が使われている。
いま企業ではこうした取り組みを推進するため、レスポンシブルAIを担当するチームの設置や、担当部署の明確化を行うところが増えている。Metaもその1社で、レスポンシブルAIを実現するための施策を検討・推進するためのチームを設けていたのだが、その体制変更を発表したのである。
なぜMetaはAIチームを再編したのか
この体制変更を、MetaがレスポンシブルAIチームを「解体」したと受け取る関係者も多かったが、実際は先ほど表現したように「再編」と言う方が近かった。レスポンシブルAIチームに所属していたメンバーの大部分は、同社の生成AIチームに移動。残りのメンバーは、社内でAIを開発・運用するためのシステムやツールに取り組むAIインフラ部門に移動すると発表した。
この件を報じたロイターの記事によれば、Metaは今回の再編について、レスポンシブルAIを担当するスタッフを「中核製品や技術の開発に近づける」ことが目的であると説明しており「AIが引き起こす事件・事故の防止に引き続き取り組む」としている。
実際にMetaは近年、生成AIへの取り組みを強化している。オープンソースの大規模言語モデル(LLM)であるLlamaやLlama2を手掛け、OpenAIのGPTシリーズと競争する姿勢を見せている他、コード生成に特化したLLM「Code Llama」、画像生成AI「Emu」、動画生成AI「Emu Video」など次々に新しいモデルを発表している。
また、こうした生成AIモデルの各種サービスへの組み込みも積極的に行っており、そこにレスポンシブルAIを担当する人々を配置するという決定は、理にかなっているといえる。
このMetaの決定に懐疑的な声も挙がった背景には、最近の米Microsoftの動きがあった。2023年の初めに、Microsoftの内部で、AIに関する原則を製品開発に反映させることを担当していた「倫理・社会チーム」を全員解雇したことが報じられたのである。
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事例で学ぶAIガバナンス
AIを本格的に業務に取り入れ、大きな効果を得たいと考える企業の数は日本でも着実に増えている。一方、米国企業に比べて「AIガバナンス」の導入は遅れていると指摘する声もある。AIを開発・利用するに当たり、どのようなガバナンスが必要になるのか。実際の事例を基に考える。
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