小寺信良の「プロフェッショナル×DX」
どこまで使える? 動画の“続き”をAI生成できる「Premiere Pro」新機能 いろんなパターンで実験してみた(4/4 ページ)
編集に必要なAI生成とは何か
AI生成の最初のステップとして、映像の続きを作るという機能が最初にフィーチャーされたわけだが、これは比較的実現可能性が高いからという理由だろう。
その一方で、この機能がどれぐらい有用なのかという点では、評価が分かれるところだ。筆者が40年に及ぶ映像編集者生活において、本当にカットの長さが少し足りなくて困ったという経験がどれぐらいあるのかと言えば、実際にはそうした機会はほとんどない。足りないのがあと数フレームであれば、分からないぐらいの速度でスピードダウンするという方法も使えるわけで、既存の技術でどうにかしてきた。
1秒も2秒も足りないのであれば、それはそんなところでカメラを止めるヤツが悪いという話になる。撮影者も自分なのであれば自分を責めるしかないが、プロのカメラマンであれば、必要なカットの数秒前から数秒後まで、のりしろ部分やステカット部分まで含めて撮影するというのは、「基本のキ」である。
アクションカメラなど、途中でクラッシュして電源が落ちてしまった場合も考えられるが、そうした映像の価値は、本当にそうなった「真実性」にある。後半は生成AIですみたいなことがアリなコンテンツは、映画などフィクションの制作に限られる。
今後、映像編集にあったらいいなと思える生成AIは、通常撮影からハイスピード撮影したようなスローモーション生成だろう。実際、昨年のInter BEEでは、AWSがAIを使ってスーパースローモーションを作るというデモを行った。全ての映像がスーパースローにできるのならば、映像の世界は大きく変わる可能性がある。
現時点でもAI動画生成をコンテンツの中に使うにはまだ課題は多いところだが、存在しない絵を作る機能はそれほど求められていない。むしろ今ある映像の加工精度の向上や、手作業の軽減といったところが重要視される。見たことない絵を作ってくれるのはアマチュアは大喜びだが、動画のマスク切りやクロマキーのカラーマッチングを手伝ってくれた方がプロは助かるわけである。AIは絵なんか描いてないでオレの確定申告手伝ってくれ、みたいな話と似ている。
人がやって欲しいことをどう実現するか。そこがクリエイティブツールメーカーがAIを使う、一番の使命だろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
小寺信良の「プロフェッショナル×DX」
クラウド活用にリモート編集環境と、映像にまつわるプロフェッショナルの分野にDXの波が押し寄せている。プロの現場で何が起こっているのか。最新のITトピックを小寺信良氏が解説する。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
2
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
3
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
4
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
5
GMO不正アクセス、犯人側は「27日に顧客のPC攻撃」予告 GMOが端末回収、ホワイトハッカーが解析中
-
6
GMO、攻撃者の公開情報に「アクセスは絶対に控えて」 悪質な拡散者には法的措置を準備
-
7
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
8
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
9
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
-
10
グッスマに不正アクセス、公式EC閉鎖 会員の住所や注文履歴など漏えいか 再開目処立たず
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR