分かりにくいけれど面白いモノたち
インスタントなのにサッと撮れない? 絵作りに熱中させる「instax WIDE Evo」の仕組みとこだわり、開発者に聞いた(6/7 ページ)
アナログ的なギミックはボディにもある。プリントしたい写真をモニターに表示してクランクダイヤルを回すと、画面内の写真が上に上がっていき、それに合わせるように、フィルムが排出されるのだ。
とても楽しいギミックなのだが、撮影したら自動的にフィルムが出てくるという、ポラロイドの「SX-70」以来のインスタントカメラの象徴ともいえる動作を、ここにきてマニュアルに戻してきたというのが、なんとも面白い。別にメニュー内にプリントボタンもあるので、必要ないようにも思えるのだ。
「大きなコンセプトとして、アナログ操作を楽しんでもらいたいというのがあります。ダイヤル操作などもそこから来たんですけど、クランクについては、フィルムから画像が出てくるまでの時間を楽しむギミックはどういうものだろう、というところから出てきたアイデアです。あれ、回しても、途中で止めて逆廻ししたら、画面上で表示が戻って、プリントされないんです。一定以上まで行っちゃうと出ちゃいますけど」と三浦さん。
「結局、instaxの最後の醍醐味というのは、プリントが出てきて、そこで終わりじゃなくて、そこからじわーっと写真が浮かび上がってくるまで続くんです。撮影からプリントまでのプロセスを、ひと続きの体験にしたかったんですよ。それを手触り感で実現しようとして、mini Evoでは巻き上げレバーのギミックを入れましたし、今回は、さらにこだわって、もっとじっくり楽しんでもらおうとしたわけです」と高井さんも続ける。
話を聞いていると、チェキはプリントまでがひと続きの体験なのだということに、富士フイルムが強くこだわっていることが分かる。だから、スマホアプリとBluetoothで接続できるのにinstax WIDE Evoで撮った写真は、それだけではスマホに転送することができない。
ところが、1回でもプリントした写真は、スマホに送ることができるのだ。そしてその写真は、アプリ上で世界中のユーザーと共有できる。
つまり、プリントして初めて、写真として完結するという思想。「触れるもの、人にあげられるものがチェキだ」という価値観は、富士フイルムというより、ユーザーの声なのだという。だから、単に、本体のメモリに保存されているだけの画像データは、データであって写真ではないのだ。
その代わり、データが保存されているからチェキなのに焼き増しができる。スマホに送ったデータもプリントできるから、その意味ではスマホは、チェキの焼き増しマシンとして機能する。
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分かりにくいけれど面白いモノたち
ITから文房具まで幅広く活躍するベテランライター、納富廉邦さんが言語化しづらいけど面白いガジェットやサービスを分かりやすく解説します。
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