小寺信良のIT大作戦
ポタ電で7年連続国内トップシェア、Jackeryの強みとは?(4/4 ページ)
世界と日本のエネルギー不安
Jackeryの製品は、日本においてはポータブル電源と折りたたみ式ソーラーパネルが主役である。特に24年の能登半島地震以降、防災意識の高まりから、ポータブル電源とソーラーパネルの同時購入が増加している。また昨今はホルムズ海峡情勢をはじめとするエネルギー供給の不安定化を背景に、カスタマーサービスへの問い合わせが増加しているという。
他方で世界に目を向けると、それぞれの国の事情が見えてくる。ドイツとイギリスでは電力価格の高騰と環境意識の高さから、ベランダ設置型の蓄電・自家発電システム「SolarVault 3 Series」などのニーズが高い。つまり可搬型ではなく、常設型である。
ベランダに大型ソーラーパネルを配置し、バッテリー自体もベランダに常設する。そこに蓄電した電力は、ベランダに出ているコンセント経由で家庭内の回路へ供給して使用するというスタイルだ。日本ではこうした利用は法的整備が追いついていないため使用できないが、ヨーロッパでは早くに法整備が進み、こうしたシステムが流行し始めている。
アメリカでは、ハリケーンや山火事に伴う大規模停電対策として、非常用電源のニーズが強い。家庭内の電力全てを数日間供給できる、大型クラスのバッテリーだ。またアウトドアでのニーズも高く、日本では展開していない500Wクラスの大型ソーラーパネルや、バッテリーも後から拡張できる大容量モデルが人気である。
この大型ソーラーパネルは、庭などの広い場所に山形に設置する。なぜならば反射光で裏面でも発電できる、両面発電タイプだからだ。
一方、お膝元の中国では、防災用途よりも、どちらかというと生活を豊かにするスタイルのアウトドア用途が中心の需要となっている。
Jackery Japanでは4月29日より期間限定で、原宿に国内初のポップアップカフェ「Jackery原宿発電所」を展開する。コンセプトは「とれたての電気と、いれたてのコーヒー。」。防災、アウトドア、節電など日々の暮らしに寄り添う「新しい電気の楽しみ方」を提案する。会場では屋上に設置したソーラーパネルで発電した“とれたて”の電気を使用し、その場で“いれたて”の「ソーラーブレンド」コーヒーを提供するという。
こうした展開は、防災用途に用意しておくだけではコストが合わないのではないかといったユーザーの不安に対し、日常的にどう使っていくかを提案するという狙いがある。
日本での普及は、ここが大きな課題だ。筆者もこれをなんとかしたいと考え、自宅のベランダにソーラーパネルを展開し、日々自家発電によって得られた電力を使って仕事をしている。仕事に関しては、電気代は0円である。
今回事情があって首都圏のマンションへ転居するが、その部屋の電力アンペア数は30Aしかない。もちろん工事を依頼してアンペア数を上げることは可能だが、ソーラーパネル発電とポータブルバッテリーによる電力ピークシフトでどれぐらい戦えるのか、試してみるつもりだ。
電気は「買う」から「作る」へシフトすることで、これまでの常識を少しづつ変えていけるのではないか。
【訂正:2026年5月14日19時05分更新 ※初出時に「京都」と記述していた部分は「東京」の誤りでした。お詫びして訂正いたします】
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小寺信良のIT大作戦
ベテランのテクノロジーライターである小寺信良さんがIT分野全般にわたって考察する。
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