“未知の遺跡”をAIと地形データで発見──奈良文化財研究所 一般の人の取り組みにも期待(2/3 ページ)
次年度(22年度)は50cmメッシュのデータをもとに作成された微地形表現図「CS立体図」の画像ベースで機械学習を行い、兵庫県全域を対象に解析を行った。古墳の可能性がある地形を1300カ所以上抽出し、そのうち豊岡市とたつの市の34カ所を実際に訪れて調べたところ、未発見の古墳や寺院跡が見つかった。
高田氏は当時の研究を振り返り、「この研究を行った21年から22年ごろは、生成AIによるサービスが一般に普及していなかったこともあり、テーマを絞らないと解析アルゴリズムを作ることは難しかったのですが、今なら生成AIは以前よりも賢く汎用的になっているので、古墳に絞らなくても山城や山林寺院の平坦地なども含めて解析アルゴリズムを構築できると思います」と語る。
専門家の知識により抽出した遺跡を絞り込み
ただし、遺跡の可能性がある場所の特定をすべてAIに任せたわけではない。既存の遺跡の位置や古代官道(律令時代に整備された幹線道路網)などの情報を組み合わせることにより、考古学や歴史学の専門知識を活用した絞り込みを行った。「人間の専門知識を組み合わせることで、『ここには遺構があるはずはない』ということを判断することが可能となります。例えば古墳の場合は、山奥で人が住んでいないところには存在せず、人里に近い場所にあるものなので、その情報を加味して実際に行く場所を決めました」(高田氏)。
AIの解析結果をもとに目視と専門知識によって絞り込みを行った結果、「現地に行ってみたが古墳ではなかった」というケースは1つもなかった。一方、樹木が茂っているために航空レーザーでうまく地形データが取得できなかった箇所を訪れて確認してみると、その場所に遺跡が見つかったケースがあったという。
「AIを使えば必ずしも遺跡を100%完璧に抽出できるというわけではありませんが、大量のデータから似ているものを探すのは得意なので、都道府県の全域など大きな範囲を調査する際に前段階としてAIを使って絞り込みを行い、その先は各市町村の文化財の担当者が自分の目で確認すると効率が大幅に向上すると思います。ただし、AIによる事前の絞り込みを行うにはデータがないと始まりません。20~24年ごろは都道府県ごとに地形データが公開されていきましたが、最近は国土地理院も詳細な地形データの公開を開始したので、このような動きは今後、より加速する可能性があります」(高田氏)。
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