企業が広告を「早く、安全に、大量に」作るAI アドビの新ツールが向かう先は“代理店いらず”か(3/3 ページ)

そして、誰が使うのか

 これらのツールは、自社内にクリエイティブ部門があり、実際に多数のクリエイティブを内製しているような企業には魅力的だろう。ただ企業がこれらのツールを使うとするならば、コンテンツ制作のスキルがある、あるいはクリエイティブとしての要素がある人材が必要だろう。何をどう指示すればどうなるのか、それはいいものなのかの判断ができなければ、アウトプットが出せない。

 実際どれぐらいの企業が内製しているのか、あるいはクリエイティブにどれぐらいの割合で関与しているのか、統計的な資料は見当たらなかった。

 筆者は広告業界も長いが、広告の内容は広告代理店のコンペで決定し、広告の制作も広告代理店主導で行うケースが多い。いわゆるクリエイティブと呼ばれる人たちも広告代理店の社員であり、実際のデザインや制作は専門会社なりに投げるといった格好になっている。むしろ日本の場合は広告代理店の方が、これらのツールが使える人材がそろっているようにも思える。

 反対に、企業がこうしたツールを使うようになれば、それは広告代理店はいらないということであり、本当に最後のフィニッシュまで自社で完結するということになる。莫大な金額を代理店に支払う必要がなくなるという点は、広告代理店にとっては大きな打撃となるだろう。

 ただ広告におけるクリエイティブとは、「予想外」であることもまた、魅力となっている。発想や視点が新しいものというのは、人間が生み出すものであり、AIが全部やってくれるというのは、「ある程度の範囲内にきれいに収まるもの」になる。そこがクリエイティブの難しいところだ。

 また人間が作ったものを、AIの指示によって修正させられるというのも、なんだか納得いかないものがある。筆者も広告原稿などを執筆する側だが、クライアントから戻ってきた修正の指摘が、いかにもAIが言いそうな内容になっているというケースも出てきた。

 最終的な判断は人間の「エイやっ」で決まる方が、面白いものができるのもまた事実である。

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