「mao-asada.jp」失効ドメイン問題、さくら田中社長「対処します」の意図は 同社に聞いた(2/3 ページ)

 さくらの田中社長はXで、「期限切れドメインの広告掲載や売買は、ドメイン事業者としてやれば、めちゃくちゃ儲かりますが、さくらインターネットは絶対やらないです」と宣言。「何度も儲かるからと話はありますが、ホームページを作る楽しさから始まった当社にとって、解約後の跡地をマネタイズに繋げるとか、そもそもあり得ないのです」と説明していた。

 その背景には「ドメインはインターネット上の公共的な基盤で、電話番号のようなもの。失効ドメインのブランド価値や知名度を前提としたマネタイズは行わない」という考え方があると、さくらインターネットの楾(はんどう)さんは説明する。

サイトに見る思想の違い

 公式サイトにも思想の違いが現れている。「お名前.com」「さくらのドメイン。」とも、希望の文字列が取得できるかを調べる検索窓を中心にすえているが、詳しく見ていくと、その思想の違いが浮き彫りになる。

 「お名前.com」は、被リンクが多いなど、SEO(検索エンジン最適化)効果が高そうな失効ドメインをランキングで見せるページがある他、「中古ドメインで集客効率UP」「検索エンジン評価・被リンクを引き継げる」などとうたう。

お名前.comは、中古ドメインのSEO効果をうたっている(公式サイトより)

 つまり、「検索エンジンに好まれそう、上位表示されそう」なドメインを素早く取得し、欲しいユーザー同士で競り合う仕組みを持っており、「ある程度の予算をかけてでも、SEO効果の高いドメインが欲しい」ユーザーに向いている。

さくらのドメインは、ドメインの選び方を解説するページがメインだ

 一方、「さくらのドメイン」のWebサイトは、検索窓のほか、「ドメインとは何か」の解説やドメインの種類・選び方の指南など、新規ドメインを適切に選ぶための情報提供に力を入れている。取得費用は、ドメイン名の文字列や過去の利用実績によらず、TLDごとに価格を一律で定めている。

 さくらでも、新規ドメインだけでなく、期限切れ後に一般開放された失効ドメインを検索・取得すること自体はできる。ただSEO価値の高いドメインはバックオーダーやドロップキャッチの仕組みを持つ事業者が素早く押さえるため、さくらでユーザーが検索するまで残っている可能性は低い。さくらは主に、新規ドメインを取得するユーザー向けと言えそうだ。

「対処します」は「決意表明に近い」

 ただ、失効ドメインをどう取得・販売するかは、法律やルールに則っている限りは自由であり、GMOのドロップキャッチやオークション販売も、その点では問題ない。

 田中社長の「このような事を助長する事業者が存在する事について、業界を代表する1人として大変申し訳なく、対処します」といった発言は、「他社様の事業を批判する意図ではない」(楾さん)という。問題提起したかったのは、「失効した著名ドメインのブランド価値や社会的信用が、意図せず第三者に移転し得る構造があり、フィッシングやなりすましを狙う人物に取得されてしまう恐れがあるという構造そのもの」だという。

 田中社長はこの問題について「対処します」とも宣言していた。具体的にどういった対処を行ったのかを楾さんに尋ねると、「対処をこれからしていきたい、という決意表明に近い」ポストだったと説明する。

 関係するインターネット関連の業界団体や参加した会合などで、失効ドメインを巡る問題について意見交換を行うといったことは会社ぐるみで行っているものの、小さな動きにとどまっているのが実情だという。

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