ザッカーバーグCEO、超知能の集中化に警鐘 「単一の善意ある超知能は存在しない」とオープンモデル公開再開へ

 米Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは8月10日(現地時間)、「The Future is for Everyone」と題する論考を自社サイトで公開した。「superintelligence」(超知能)は一部の機関に集中させず広く行き渡らせるべきだという、7月28日の米Wall Street Journalへの寄稿と同じ主張を軸に、雇用や安全保障、アライメントといった論点を大幅に加筆した内容だ。

Instagramで論考について語るザッカーバーグCEO(画像:Instagramのリールより)

 同氏は、個人のエンパワーメントを繁栄の源、発明を超知能の主目的、権力の均衡を安全の基礎とする3点を柱に据える。その上で「人類は単一の文化ではない」として、相反する価値観すべてに同時に沿う技術的解決策は存在せず、単一の超知能は一部の価値観を優先せざるを得ないと指摘。「単一の善意ある超知能というものは存在しない」と述べ、安全性の議論は技術ではなく権力の均衡の問題として捉えるべきだとした。

 政策面では、フロンティアAIを開発する企業が学習途中のチェックポイントを政府に提供し、重要インフラの防御に活用させる仕組みを提案。米政府に対しては、中国に対するチップの輸出規制の継続を支持する一方、米国のモデル公開を遅らせる政策には反対し、モデル蒸留の制限や外国製オープンモデルの利用制限も解決策にならないとした。

 自社の体制については、モデル公開の安全基準の承認と適合性の審査を社外の独立した取締役会に委ねる仕組みを導入すると表明。他のラボにも同様の体制の導入を促した。

 そして、オープンソースは人々に力を与え、中央集権化を防ぐ重要な力だとして、Meta Superintelligence Labs(MSL)が本格稼働した今、間もなくオープンソースモデルの公開を再開すると明言した。実際に同日、MSLはオープンウェイトのAIモデル「Muse Glimmer」を公開。ザッカーバーグ氏はXで、最新の基盤モデル「Muse Spark 1.2」のウェイトについても近く公開すると述べている。

 Metaは2023年の「Llama」シリーズでオープンウェイトモデルの中心的な担い手となったが、2025年4月の「Llama 4」を最後に新たなオープンモデルを公開しておらず、AI部門の再編も重なってオープンソースへの姿勢を疑問視する声が出ていた。この間、中国のDeepSeekやAlibaba、Moonshot AIなどがオープンウェイトモデルで存在感を高め、米国勢では米OpenAIが2025年8月に「gpt-oss」を米Googleが「Gemma」シリーズを公開している。7月24日には米NVIDIAや米Microsoft、OpenAI、Metaなどがオープンウェイトモデルへの過度な規制に反対する共同声明を発表し、署名しなかった米Anthropicのダリオ・アモデイCEOが自らの立場を説明する文書を公開する展開にもなっていた。

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