PHP脆弱性でいち早くサービス停止、コドモン経営判断の舞台裏 実はオンラインイベントの真っ最中だった(4/4 ページ)

イベントは"止めない" もう一つの経営判断

──一連の流れをご説明いただきましたが、一番心がざわついたのはどの瞬間でしたか

小池:前倒しの相談を受けたときもそうですが、実は当時、全国の保育者が集まるオンラインイベントをリアルタイムで開催している最中で、これを止めるのかどうか、という論点もありました。4500人以上が参加するイベントで、当日は3日間ある日程の2日目でした。

──結局、イベントは

小池:継続しました。

──サービスを止める一方で、イベントを続けた理由は

小池:視聴者の多くは保育関係者ですから、研修を受けている場合ではない、という状況になりかねません。登壇している先生がユーザーである場合もあり、講演どころではない、ということもあり得ます。

 一方で当社は、業務の効率化・省力化という価値に加えて、先生方に生まれたゆとりを学びの機会に変えてもらうサポートもしたいと考え、今回のような大規模な研修会を開いています。イベント自体は(コドモンのサービスを主体としたユーザー向けのものではなく)保育の有識者らを招き、子ども主体の保育の実践事例などを紹介する内容でしたから、当社のインシデントによって先生方の学びの機会を失わせることはあってはならない、という経営判断を下しました。

 登壇する先生方には、状況を伝えた上で登壇を続けてもらえるかをご相談し、視聴者の皆さまには、園の運営を最優先してほしいことを案内した他、イベントの内容は後から視聴できることを案内するテロップも急きょ流しました。

──最後に、今回の対応を自己採点するなら、100点満点中何点でしょうか

小池:60点です。大前提として、ユーザーに迷惑をおかけしました。一度サービスを止めると、停止期間そのものに加えて、「コドモンは本当に大丈夫なのか」という、使い続けることへの不安にもつながります。この点はベンダーとして大いに反省すべきだと考えています。当時の状況での判断としては正しかったと思っていますが、システムの構成や社内の体制にはまだ改善の余地があります。

──同じことが再び起きたら、どこを変えたいですか

小池:全てのサービスを止めざるを得なかったのは、プロダクトの構成、つまりアーキテクチャによる部分もあります。こうしたセキュリティリスクは今後ますます高まるはずで、それを前提としたアーキテクチャに作り変えていくことは、責任を持って取り組まなければならない課題です。加えて、停止後の現場とのコミュニケーションや代替手段の提供についても、もっとできることがありました。

──今後の備えとして考えていることはありますか

小池:SaaSベンダーとしてAIの活用を進めていく中で、データの利活用は大きなテーマです。ただ、データを預かること自体がリスクになりかねない状況にもなってきています。今後は、データをいかに預からないか、という観点が必要になると考えています。

 また、現在SLAで定めているのはあくまで稼働率ですが、今後は稼働率ありきではなく「こうした場合にはシステムを止める判断をする」というスタンスについて、ユーザーや関係者と事前に合意しておくことも必要だと考えています。何が何でも稼働させるという方向に、ベンダーがバイアスをかけるべきではありません。最も重要なのは、預かっているデータを守ることです。

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