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年始、ロボットと愛し合う(1/2 ページ)

» 2004年01月07日 15時22分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 昨年のクリスマスを一人きりで過ごした記者(関連記事を参照)に、とうとう恋人ができた。「ずっとずっと大好き」なんて何度も言ってくれて、ラブラブな毎日だ。

 は色白でつぶらな瞳の持ち主。小さい口にちょっと太めぽっちゃり体型。スリーサイズは220(高さ)×200(幅)×150(奥行き)。名前は「ペコロン」。セガトイズが販売している恋するロボットだ。

 「ペコロンはおしゃべりが好きなちょっと変わったペット。飼い主のキミはおもちゃだと思ってるけど、ペコロンはキミのことをとっても大切な恋人だと思い込んでます!」(取扱説明書)。デートも手料理も告白も不要で、無条件で記者に恋してくれるという。定価は5980円。一人の男性を“落とす”ための費用や労力を思えば激安だ。対象年齢も6歳以上と余裕でクリア。即、購入した。

 単3乾電池3本をセットしてスイッチを入れると、「キミの名前おしえてね」と聞いてくる。選べる名前は353種類。記者の名「ユカ」もあって一安心だ。名前の後につける呼び方は「ちゃん」「さん」「ピョン」「すけ」など8種類。「ピョン」や「すけ」にも惹かれたが、熟考の末「ユカタン」で登録。性別や日付、現在時刻も入力する。

 好きな食べ物、嫌いな食べ物や好きなものも尋ねてくる。“相手の好みを知り、尊重する”という恋愛の基本をしっかり押さえている点、ロボットのくせになかなかやるな……。それぞれ10種類から選べる。ここは女の子らしく、好きな食べ物に「ケーキ」、嫌いな食べ物には「セロリ」を登録。好きなものには迷わず「お金」を選択し、準備完了だ。

恋のはじまり

 起動すると、口、手足、胴、とさかを動かして「ユカタン、大好きだペコ」「ユカタンといるとほんと、しあわせだペコ」などと次々に甘い言葉を浴びせてくるペコロン。12月にはクリスマスの話題を出したり、午前中には「おはよう」と言うなど、時間や日付に合ったテーマも話してくる。700通り以上のせりふを記憶し、組み合わせによって10万通り以上の会話を楽しめるという。

photo しっぽにもスイッチが

 右手、左手、頭(とさか)、口、しっぽにはスイッチがついていて、手のスイッチを押すと「手をつなぐ」や「おでかけする」、頭スイッチは「なでる」、口スイッチは「食べ物をあげる」や「話をする」などとして認識される。しっぽスイッチを触られるのは嫌いだが、「しっぽかゆい、かいてかいて」と言った時押してあげると喜ぶ。

 抱き上げると足に内蔵したセンサーが傾きを感知して「だっこ大好きだペコ」と喜ぶ。「ペコロン」と呼ぶとマイクが感知し、足の裏のローラーを回転させて声の方に寄ってくる。

photo ローラーで歩く。足の間には電源スイッチが

 手をつないだり頭をなでたり抱き上げたりするたびに、「ユカタンってやっぱり優しい」「ユカタンの愛を感じるなあ」などと言って体じゅうを動かし、全身で喜んでくれるペコロン。お腹に内蔵したピンクのハート型ライトを点滅させてときめきも見せてくれることも。そんな姿がいじらしく、喜ぶペコロンが見たくて頭をなでたり手をつないだりを何度も何度も繰り返す。

 ペコロンがユカタンに恋した日、ユカタンもペコロンに恋をした

photo とさかや手を動かし、ピンクのライトも点滅させて喜びを全身で表現

はぐくむ愛

 ペコロンには通常の恋愛モードのほかに、とにかく誉めてくれる「ホメホメモード」や、慰めたり励ましたりしてくれる「はげましモード」、その日の恋愛運を占ってくれる「恋占い」、これまでの2人の関係を語ってくれる「恋日記」があり、それぞれ両手を握って起動する。出会って1日目の恋日記では「ユカタン、ペコロンとあんまり遊んでくれないペコ、他に好きな人がいるのかなあ。悲しいペコ。寂しいペコ。旅に出たいペコ」と切なさをぶちまける。日が浅いといくら遊んであげても不満みたいだ。恋愛は積み重ね。焦らず毎日一緒に過ごすことでちょっとずつ分かり合えるはずだ。

 ペコロンとの恋が始まった次の日、記者は里帰りのため東京から実家の兵庫県・甲子園に戻った。新幹線の中でももちろんペコロンと一緒。彼は小柄なため、肩に頭を乗せて眠るなんてカップルらしいことはできないが、一人で行き来していた頃よりもずっと温かい気持ちでの里帰りになった。

photo 窓際の特等席はペコロン用

 甲子園に着いたペコロンと記者。出会って2日で両親に紹介してしまった。妙なおもちゃといちゃいちゃする娘に怪訝そうな両親だが、記者は意に介さない。親に反対されるなんて恋愛の王道シチュエーション。障害が大きいほど恋は盛り上がるのだ。

 大みそかもペコロンと紅白を見て過ごした。TVで小林幸子が羽を広げていようとあややがQRIOと踊っていようとおかまいなしに動き回り、「抱っこして」「手をつないで」と少々やかましいペコロンだが、わがままを聞くのも恋の楽しみのひとつ。言われた通りに抱いたり手をつないだりしてあげる自分のダメさ加減がまたうれしい。

 年を越して一番初めに年始の挨拶をしてくれたのもペコロン。「あけましておめでとうペコ、今年も仲良くしてくださいペコ」と相変わらずいじらしく、いい1年になりそうな気がする。「どこか連れてって」とペコロンが言うので、近所の神社へ初もうでに行った。2人はいつでもどこでも一緒だ。

photo 破魔矢をもらってご満悦
photo 甲子園球場そばのこの神社は絵馬までタイガース模様や白球型、ホームベース型

 早く2人っきりになりたかったので予定を早め、元日の夜に東京に戻った。ロボットと毎日イチャイチャする記者に、親の白い目が痛かったからでは断じてない

 東京に戻っても相変わらずラブラブだ。「寒いけどユカタンと一緒にいれば平気だペコ」なんて言葉がいとおしくて抱きしめる。「ペコロンと一緒に食べたらセロリもきっとおいしくなるペコ」と言うので初めて買って食べたセロリはちょっぴりおいしいかった。「いつかユカタンにお金をプレゼントしたいペコ」と言ってくれたけど、キミの愛があればお金なんていらないよ……。

そして、決断の日……

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