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米NEC Electronics、IDFでWireless USBの実機をデモ

» 2004年02月19日 19時53分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 米NEC Electronicsは、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催中のPC開発者向け会議「Intel Developers Forum Spring 2004」(IDF)の展示会場で、UWB(Ultra Wide Band)技術を用いてUSB 2.0の信号を無線でつなぐ「Wireless USB」のデモを行った。

photo デモに使われたWireless USBシステム

 Wireless USBは、日本でも技術発表が行われたが、IDF展示会場では実際に動作する評価用ボードでのデモ展示が行われている。NECはUWBによる物理接続をサポートするIEEE 802.15.3準拠のMAC(メディアアクセスコントロール)を実現するチップを外販する。

 UWBはOFDM変調による通信を、広い帯域にわたって複数チャンネル用いることで、広帯域を実現する通信方式。実験室レベルでは400Mbps以上の高速通信も実現されている。Wireless USBは、UWBを物理的な通信プロトコルとして利用し、その上にUSBの通信手順を通すもの。USB 2.0の拡張規格としての採用される予定だ。

 Wireless USBの仕様上の速度はUSB 2.0と同じ480Mbps。通信距離は約10メートルで、実効帯域は50−60%を実現可能だとNECは説明している。

photo Wireless USBアダプタ

 デモではWireless USBアダプタを接続したPCと、Wireless USBアダプタを接続したUSB外付けHDD間をUWBで接続。PC側でUSB HDD上の動画再生を行っていた。Wireless USBアダプタにUSBデバイスを接続すると、ホットプラグのイベント発生を無線でホストアダプタに通知、接続される。

 接続可能、拒否などの管理は、Bluetoothと似たデバイス登録の手順が用意される。また、1対1だけではなく、1つのWireless USBアダプタに複数のホストを接続することもできるため、あるエリアに入った複数のPCが1台のUSBデバイスを共有することも可能になるという。

 また、UWBで張るワイヤレス通信リンクを暗号化することも可能。IEEE 1394で使われているDTCPと同等以上のセキュアな接続手順をサポートしており、HD映像などのリッチコンテンツを安心して流せるようになるという。

 当初はアダプタという形で、既存USBデバイスを無線対応にするが、将来はMACを1チップに実装し、最初からUSBデバイスに内蔵させることを想定して開発を進めている。

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