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動くたんぱく質を分子レベルで動画観察 オリンパス、原子間力顕微鏡で世界初

» 2004年04月14日 16時22分 公開
[ITmedia]

 オリンパスは4月14日、世界で初めて動画観察を可能にした高速原子間力顕微鏡を開発、5月10日から受注販売すると発表した。DNAや細胞膜など、従来は静止画のみだった対象を分子レベルで動画で観察でき、医療や製薬分野など幅広く貢献できるとしている。

 原子間力顕微鏡は、カンチレバーの先についたプローブでサンプルをなぞり、サンプルとプローブ間に働く原子間力で生じたカンチレバーのたわみをレーザーで検出し、表面形状をとらえる。光学顕微鏡に比べ数百倍以上の分解能を持ち、1分子単位で観察することが可能だ。

 新製品は金沢大学理学部の安藤敏夫教授の研究成果をもとに開発した。同社のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を活かし、従来と比べ20分の1に微小化したカンチレバーを開発。またサンプルを動かすスキャナも小型化し、ナノレベルの細かさで高速スキャンが可能になった。

photo 新開発したカンチレバー(右の円内)は従来のカンチレバー(左の円内)の20分の1のサイズ

 従来の原子間力顕微鏡では、1枚の静止画を得るのに1−4分程度かかっていたが、新製品は1秒間に12.5フレームと従来の1000倍のスピードで撮影が可能。このため、細胞内で筋肉の収縮や物質輸送を行う「モーターたんぱく質」などを動いた状態で詳細に観察できるようになった。

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