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Longhornの機能削減は「あっても小さい」とMS

» 2004年04月19日 15時51分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米Microsoftは先日、Windows次期メジャーアップグレードである「Longhorn」で計画している機能を見直しており、一部機能を削減する可能性を認めた。

 ただし、同社のWindowsクライアント部門リードプロダクトマネジャー、グレッグ・サリバン氏は、同社が検討しているのは「かなり重要度の低い機能」であり、昨年10月のProfessional Developers Conference(PDC)で明らかにしたLonghornの構想を大幅に変えるものではないと強調した。

 「あらゆる開発プロセスの通常の部分においては、プロジェクトの端から端までを検討し、特性、シナリオ、機能に優先順位をつける。これが、現在当社がLonghornで取り組んでいる作業だ」と同氏は説明した。

 MicrosoftはPDCでLonghornの開発者向けプレビュー版を配布しており、来月シアトルで開催のWindows Hardware Engineering Conference(WinHEC)の参加者に新たなプレビュー版を配布する計画だとサリバン氏は話している。このほか、WinHECでは同OSの最新情報も提供されるが、Longhornβ版のリリースがまだ何カ月も先であることから、Longhornの見直し作業はWinHECの後も続けられる予定だ。

 昨年のPDCで、MicrosoftはLonghornの初のβ版を今年後半にリリースする見通しだと語っていたが、それが2005年前半に延期されたことをサリバン氏は認めた。「完成版のリリースについては、顧客から寄せられるフィードバックを十分に吟味し、顧客が求める品質基準に達してからになる」と同氏は言い添えた。

 先月サンディエゴで催されたGartner Symposiumで講演を行ったMicrosoftの会長兼チーフソフトウェアアーキテクトのビル・ゲイツ氏は、Longhornは「期日に合わせてリリースすることを主目的とはしていない」としつつ、2006年とのリリース時期は「妥当な憶測だろう」と語った。同社はそれ以前には、Longhornを2005年中に出荷すると話していた。

 Microsoftの広報担当は先日、Longhornの「社内リリース目標」は2006年前半であることを認めながらも、出荷期日は決まっていないと強調した。

 Longhornは3つの主要なコンポーネントで構成されている。新たなプレゼンテーションシステム「Avalon」は、ビデオ、アニメーション、2D/3Dグラフィックス用の統合型ハードウェアアクセラレート・グラフィックスプログラミングモデルを特徴とする。「Indigo」は、先進的なサービス指向アプリケーションを構築するための通信インフラ・プログラミングモデル。WinFSは新しいストレージサブシステム。

 現行システムでは、ファイルは階層型ファイルシステムのサブディレクトリにあたるフォルダに格納されているが、サリバン氏によれば、WinFSでは、オブジェクトならびにオブジェクト間の関係が保管され、各オブジェクトはXMLベースのメタデータと関連付けられる。これによりユーザーは、柔軟性が高く、より強力な手法で情報を検索、利用することができるという。

 さらに同氏は、Longhornにおける3つの主要なコンポーネントの一部要素が削減される可能性はあるが、変更されるとしても「小さな」箇所にとどまるとしている。現在進められているLonghornの見直しプロセスで検討されているのは「優先順位の低い下位機能であり、しかもそれが脱落するとは限らない」と同氏は語った。

 BusinessWeek Onlineは最近、MicrosoftはLonghornの最も重要な機能を一部削除する計画であり、現在の計画では新ファイルシステムはPC上で機能するが、企業ネットワークを介したファイル共有にまでは拡張されないと報じた(4月12日の記事参照)。BusinessWeekは同社が入手した2通のMicrosoftの電子メールが情報源だとしている。

 これについてサリバン氏は「ある程度限定的な情報であり、私自身はその社内メールを読んでいない」とし、どの機能を提供し、どれを提供しないかを今明らかにするのは時期尚早だと言い添えた。「WinFSは決してインターネットをインデックス化するために設計されたものではない。企業イントラネットを行き来する企業データを、ユーザーが活用できるさまざまな手法を模索している最中だ」

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