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ソニー、エレクトロニクス分野は赤字転落 PSXは「目標台数届かず」

» 2004年04月27日 20時32分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 ソニーは4月27日、2003年度連結決算を発表した。売り上げ高は7兆4964億円で、前年度比0.3%増と横ばい。リストラ費用が響いて営業利益は同46.7%減の989億円、純利益は同23.4%減の885億円に落ち込んだ。今期の連結営業利益は62%増の1600億円を見込む。

 エレクトロニクス分野の売り上げは、前年度比0.9%減の4兆8974円に。プラズマ/液晶TV、デジタルカメラ、PC「バイオ」シリーズなどの好調で、外部顧客に対する売上げは同4.7%増加したが、「PlayStaion 2」の生産が中国での外注生産に移行したことでゲーム分野のセグメント間取引が大幅に減ったことが減収を招いた。

photo 製品カテゴリー別では、デジカメ向けCCDなどが好調だった半導体が増収増益。ビデオ分野(デジカメやDVDレコーダー含む)の売り上げ高は前年比670億円増だったが、新製品の試作研究費がかさんだため営業利益は58億円減に

 エレクトロニクス分野の営業利益は前年度から767億円減少し、353億円の赤字に転落。退職金などのリストラ費用が前年比708億円増加したことが重くのしかかったほか、ブラウン管型TVや携帯型音楽プレーヤーの単価が下落したことが減益要因となった。

 DVDレコーダーの2003年度出荷台数については「PSX」「スゴ録」合計で65万台。内訳は明かさなかったが、「PSXは、発売当初こそ売れたものの、売り上げ台数は想定に届いていない」(湯原隆男執行役常務兼グループCFO)。

 ゲーム分野の売上げは7802億円と前年度比18.3%減。PlayStation 2(PS2)用ソフトの販売は2億2200万本と同3200万本増えたが、PlayStation(PS)用ソフトが同2900万本減の3200万本に減り、ソフト全体では減収。PS2本体の販売は国内や欧州では好調だったが、米国で不振だったためハードも減収となった。営業利益は同40%減の676億円。研究開発費の増加や本体価格の引き下げが減益要因だとしている。

 ソニー・ミュージックエンタテインメントによる音楽分野の売り上げ高は、世界的な音楽不況のあおりで前年度比6.3%減だったが、リストラ効果が現れて営業利益は190億円の黒字。映画分野の売り上げは前年度比5.8%減の7564億円、営業利益は同40.3%減の352億円。TV局への映画販売は好調だったものの、前年度ほどのヒット作がなく減益となった。金融分野の売り上げは、ソニー生命の増収により前年度比10.5%増の5935億円。営業利益も前年度比142.4%増の324億円になった。

PSP、本年度で出荷300万台を見込む

 2004年度の連結売り上げ見通しは、2003年度比1%増の7兆5500億円。営業利益は62%増の1600億円、純利益は13%増の1000億円。構造改革の効果があらわれるほか、デジタル家電の売り上げ増が増益に貢献するとの見通しだ。

 エレクトロニクス分野では、DVDレコーダーや薄型TV、デジタルカメラの売り上げが増加する見込み。DVDレコーダーの出荷台数は今年度比約3倍の200万台、プラズマ・液晶TVは同56%増の100万台、デジカメは同50%増の1500万台を予定している。研究開発にも引き続き投資し、付加価値の高い製品の開発をめざす。

 ゲーム分野ではPS one、PS2ともにハードの販売台数が減るほか、2004年度に300万台の出荷を予定している携帯型ゲーム機「PSP」への投資がかさむため、減収見込みとなっている。

 音楽事業と映画事業は前年度並み、金融は減益見込みだ。

 昨年5月の会見では、2006年度には営業利益率10%を達成することを明らかにしていた同社。2003年度の金融を除いた営業利益率は3.1%だった。2004年度はこれを3.5%にまで引き上げる予定だ。

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