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CIOシンポジウムで米企業IT幹部が語った「新技術の見極め方」

» 2004年05月21日 08時53分 公開
[IDG Japan]
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 米マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院で5月19日開かれたCIO Symposiumで講演した2人の企業情報システム幹部によると、ITによって「ビジネス上の違い」を出すためには、プロセスと基準をしっかり定義する必要がある。

 United Parcel Service(UPS)のIS共通サービス担当副社長、ジム・メディロス氏によると、同社では1996年、新規台頭技術を評価するためのプロセスと、専任の部隊が設置された。当時同社では、ITプロフェッショナルの数が約4700人に達し、多数の新規開発が進行。中には、他のチームが既に評価を行っている新技術に、別のチームが取り組んでいるといったケースがみられた。

 UPSのプロセスでは、一つの新技術について、まず文書で評価し、プロトタイプに投資する価値があるかを判断。プロトタイプが管理部門の承認を得たら、開発部門がアプリケーションを書く。その後、最終承認を経て実際の導入に至る。

 メディロス氏の部門の過去の大きな成果の一つに「Linuxの採用」があるという。UPSには、新技術に対するビジネスニーズを予見することが重要との考えがあったため、Linuxは評価プロセスを無事通過、社内導入の要望が出る1年前には実運用に耐えるバージョンが用意できていたという。

 一方、Verizon Communicationsでは、新技術導入にあたっての最初の問いは、会社の収益アップにつながるかどうかだと同社アーキテクチャ/eサービス担当上級副社長のシャドマン・ゼイファー氏は語った。明確なビジネスプランがある場合、次の問いは、その技術に「破壊力」があるかどうかだという。つまり、ユーザーが増えた段階で安価になり、品質がまだ標準に達していなくても利用が増えつつあるかどうか。そして、とりわけ次世代通信技術の場合、新技術の採用決定で最後に必要となる要素は、「アドバイザーとなるパワーユーザー」だとゼイファー氏は言う。パワーユーザーには、「当社の顧客より先にニーズを言語化する力がある」と同氏は語った。

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