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日本発のMS「Office」――電子名刺交換ソフト「InterConnect 2004」(2/2 ページ)

» 2004年05月27日 17時57分 公開
[中嶋嘉祐,ITmedia]
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 日本法人はInterConnectの開発に当たり、メモ取りソフト「OneNote」のような新分野の製品開発を目指したという。「日本の顧客の生産性に貢献するため、どの分野の製品を開発すればいいかをまず考えた」とマイクロソフトプロダクトディベロップメントのプレジデント、藤井照穂氏は語る。

 日本のビジネスでは、欧米と比べて個人と個人の関係が重要になる。こうした考えから「人々の信頼関係を構築し、それを育み、ビジネスの可能性を広げる」という目標を設定、「パーソナルリレーションシップマネージメント」という開発コンセプトを掲げた。

 「企業と顧客の関係に注目したCRMとは違い、個人と個人のつながりを重視した。ビジネス上のコミュニケーションを豊かに、円滑にするソフトだ。InterConnectには“人と人をつなぐ”という意味を込めている」(藤井氏)

photo 藤井照穂氏(マイクロソフトプロダクトディベロップメント・プレジデント)

 同社は電子名刺の普及に成功しても、紙の名刺が廃れることはないと考えている。人間関係を築く上での紙の名刺交換の重要性を認めつつ、紙の名刺を補完し、相手との現在の関係を的確に把握するためのツールとしてInterConnectを位置付けている。

パートナー企業の役割は?

 同社はInterConnect対応の製品・サービスを提供するパートナー企業として、7社からの協力を取り付けている(27日現在)。

 名刺OCRソフトを手掛けるエー・アイ・ソフト、PFU、富士通、メディアドライブの4社は、自社のソフトにInterConnect対応機能を盛り込む。

 電子認証サービスを提供する日本ベリサインは、InterConnect用の電子証明書を用意する。ちなみに、InterConnect単体が生成する電子証明書はサーバで管理されず、InterConnectが入っているPCで独自に生成されるものだ。

 このほかにパートナーとして紹介されたウォーカープラスは取引先との接待などに使えるレストラン情報を、ダイヤモンド社は人事異動や企業組織の改編といったニュースのクリッピングサービスを提供する。こうした情報は、取引相手の関連情報として利用できるという。

電子名刺の課題

 電子名刺といえば、過去にはvCardという規格が登場している。

 同社は、InterConnectにはvCardになかった価値があると主張。「vCardは連絡先の情報だけだった。InterConnectではそれにプラスして、相手との関係を構築していくためのさまざまな情報も管理していく。また情報の更新性に優れ、継続的な利用にも適している」。

 InterConnectには、携帯電話との連係機能が盛り込まれていない。質疑応答の際には、ビジネスツールとしての携帯電話の価値を考えると、致命的な欠点ではないかとの指摘が上がった。しかし同社はこの指摘を受け、βテストでのユーザーの反応を見て、柔軟に問題点を修正する考えを示している。

 「まったく新しいビジネス習慣。普及に時間がかかる製品だと考えている。対策として、なるべく初めて使ってもらう時のハードルが低くなるように開発してきた」と同社インフォメーションワーカービジネス本部の横井伸好本部長。

 同社は、例えばコミュニティーのような場を使い、1人のユーザーが10人のユーザーに電子名刺を送り、その10人がさらに何十人かに電子メールを送信するような展開を狙うとしている。「電子名刺を受け取った何割かのユーザーがInterConnect Liteを導入し、そのうちの何割かがInterConnect 2004を購入する。そんな展開を期待している」。

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