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ゲーム業界セミナーで「Longhornの先行く3Dを」とMS担当者

» 2004年06月01日 15時40分 公開
[中嶋嘉祐,ITmedia]

 国際ゲーム開発者協会(IGDA)日本は5月29日、マイクロソフトのDirectX担当テクニカルエバンジェリスト、川西裕幸氏などを迎え、ゲーム開発者向けのセミナー「ゲームテクノロジー研究会(SIG-GT)」を開催した。

 川西氏はGPUとプログラマブルシェーダについて概論。プログラマブルシェーダに対応したDirectX 8の登場によってパラダイムシフトが起き、ソフトエンジニアの役割が大きくなったと話した。

 「ハードエンジニアが実装しなくてはならなかったものを、ソフトエンジニアが実装できる時代になった。これは大きなパラダイムシフト。ソフトとしてさまざまな機能を実装できるようになった。自由にエフェクトをつくれるようになった反面、言語やAPIだけでなく、ライティングなどの知識も必要な時代が訪れた」(川西氏)

 DirectX 6を第1世代と考え、プログラマブル対応のDirectX 8を第3世代、プログラムの柔軟性・生産性を向上させたDirectX 9.0を第4世代と見なすのならば、GeForce 6800RADEON X800で採用されている命令文制限が緩和されたシェーダ3.0世代を第5世代と呼んでいいのではないかと同氏。

 また同氏は、現在β3テストに入っているDirectX 9.0 SDK Update(Summer2004)をその名称通り今夏にリリースし、遅くとも8月までには出す考えを示した。

 なおLonghornではGUIレベルで3Dグラフィクスが組み込まれるが、同氏はそれについて「DirectXチームはLonghornの先を行く3Dを考えている」とコメントしている。

ゲーム業界の最先端を学ぶSIG-GT

 SIG-GTは今回で2回目。「リアルタイムグラフィックス」をテーマに、このほかにもGPUを使ったPCベースのモーションキャプチャの可能性(高橋誠史氏・北陸先端科学技術大学院大学)、オフラインCG(完全パッケージ)制作のノウハウを生かしたオンラインCG(リアルタイム映像)制作のメリット(湯崎伸氏・オプトグラフ)といったトピックが取り上げられた。

 司会を務めたNHKエンジニアリングサービスの白井暁彦氏は、「PlayStation 4や5の時代には、全身のモーションをキャプチャする双方向機能などが当たり前になると思っている」と語り、この分野を事前に研究する必要があると提言している。

photo パネルディスカッションの光景。左から川西裕幸氏(マクロソフト)、湯崎伸氏(オプトグラフ)、白井暁彦氏(NHKエンジニアリングサービス)、高橋誠史氏(北陸先端科学技術大学院大学)。

 IGDAは、ゲーム開発者コミュニティー育成のための国際的なNPO団体。月1回のペースでSIG-GTを開き、最新のゲーム技術について検討を重ねるとしている。

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