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FCC規定を覆す判決に米司法省「上告せず」

» 2004年06月10日 08時47分 公開
[IDG Japan]
IDG

 オルソン米法務次官は6月9日、米連邦通信委員会(FCC)の新規定をほぼ覆す内容の連邦控訴裁判決に対し、上訴しない方針を固めたことを明らかにした。

 問題の規定は、通信事業者間のネットワーク共有に関するもの。FCCが2003年8月に最終確定した「Triennial Review」では、既存の通信キャリアが自社ネットワークのどの部分を値引き価格で競合他社に開放しなければならないかを規定している。連邦控訴裁は今年3月、この規定の大部分を否定する判決を出した。

 オルソン法務次官の今回の発表は、「米司法省はこの件について上訴しない」という意思表明だが、FCCが最高裁に上告する可能性はまだ残っている。ただFCCでは、もともとTriennial Reviewの内容の一部に反対だったパウエル委員長の指示で、控訴裁の判決が出た直後から、職員が新しいネットワーク共有規定の準備を進めている。

 控訴裁の判決は、交換施設と一部大容量DS-1/3ネットワークループの共有に関するFCCの決定を覆したもので、新規参入組の地域電話会社(CLEC)にベル系地域電話会社との個別交渉を促す内容となっている。しかし、判決後にまとまった合意はほとんどない。

 ベル系4社のライバル会社からは、法務次官の決定は電話サービス料金の値上がりにつながるものだとの声も出ている。

 MCIの法務担当幹部は、「もしもFCC規定が間違った方向へ進み、卸売り価格が上昇した場合、MCIは一部市場では値上げ、他の市場では撤退を余儀なくされるかもしれない」との声明を出した。さらに、「ブッシュ政権のこの決定は、市場を崩壊させるだろう。競争がなくなれば、じきに消費者は、料金値上げ、サービス品質の低下、技術革新の減衰に直面することになる」としている。

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