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「業界全体に波及」は勇み足? ノートPCメモリ不良はHPのみとの指摘

» 2004年07月02日 08時27分 公開
[IDG Japan]
IDG

 先週、Hewlett-Packard(HP)が発表した、ノートPCのメモリモジュール不良とそれに伴う回収騒ぎで、同社は他社製PCでも問題が起きる可能性があると指摘したが、PCベンダー、メモリメーカー、業界アナリストともに、その見方には否定的だ。

 HPの発表によれば、同社のノートPCで特定のメモリモジュールを搭載したモデル、約90万台が交換対象となっており、過去2年間に販売されている。この問題は、PCがスリープモードからアクティブモードに入るときにメモリモジュールがハングアップし、システムクラッシュ、データ損失を引き起こすというもの。

 このスリープモードはC3と呼ばれる、最も深いスリープモードで、消費電力制御に用いられるAdvanced Configuration and Power Interface (ACPI) 標準で規定されている。このC3モードを繰り返し行うことでアクティブに消費電力を抑える処理を行っているPCベンダーがあり、HPによれば、その場合に特定のメモリとIntelのモバイルチップセットである845、852、855との互換性で問題が起きるという。

 IBMは、HPが報告した事例はThinkPadのメモリチップをテストする段階で発見しており、不良メモリパーツは使用せず、出荷製品では問題が起きていないとしている。

 Gatewayでは顧客からの報告は行われていないが、同社が買収したeMachinesではIBMと同様に、出荷前にこの問題を確認し、ユーザーの手に渡る前に対処していると話している。

 Dellはこの問題を調査中だが、影響はないだろうと述べている。東芝も調査中で、近々その結果を発表する予定。

 あるアナリストは、このC3モードはHPが主張するほど一般的なものではなく、PC業界全体で使われているとは言い難いと指摘。IBMとGatewayがこの問題を出荷前に見つけていることから、HPが単に見逃しただけ、との指摘もある。

 HPでは、問題を発見できなかったのは、発生の頻度が非常に低いことと、ユーザー設定に依存することによると説明しており、これは業界全体の問題だとの主張を崩していない。

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