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» 2004年07月07日 19時13分 公開

福利厚生を削っても――「1年で10億ドルの節約」目指すMS

Microsoftは“大企業病”を克服しなくてはならない。バルマーCEOは社員あてのメールでこう語り、説明責任やマーケティングの改善、費用削減を唱えた。同社は既に福利厚生に変更を加えている。(IDG)

[IDG Japan]
IDG

 Microsoftの顧客は、同社のソフトは「より少ない投資でより大きな効果」をもたらすといううたい文句を耳にしてきたが、今度はMicrosoft社員の番だ。同社は福利厚生を切り詰めている。

 同社は7月1日に始まった2005会計年度に、効率改善とコスト削減によって約10億ドルを節約する計画だ。スティーブ・バルマーCEO(最高経営責任者)は7月6日、年に1回社員あてに送る戦略説明のメールでこう記している。

 過去3年間にわたり、Microsoftでは売上高よりも急ペースで費用が増えてきた。「明らかに、これは継続してはいけないトレンドだ」とバルマー氏。同氏によると、費用節減計画には、マーケティングのより効率的な組織化も含まれ、それにより数億ドルが削減されるはずという。

 こうしたコスト削減の取り組みは、Microsoftの社員に打撃を与えている。同社は社員の福利厚生に変更を加えた。ただし給与はインフレに合わせて上がり、優秀な社員はもっと給与が上がることになるとバルマー氏。

 「ここ数年、他社はレイオフや大規模な福利厚生の削減などで厳しくコストを切り詰めてきた。われわれはそうしたことをしなかった。今は、後で深刻な手段を避けられるように、慎重になりたいと思っている」(同氏)

 福利厚生の変更の1つとして、Microsoftの広報担当者は処方薬の支給範囲の縮小を挙げている。社員は同じ効果があるノーブランド薬が手に入る場合は、ブランド薬の料金の一部を支払わなくてはならなくなったという。

 Microsoftは「大企業病」を克服しなくてはならず、「顧客と株主に対する業績についての説明責任に力を入れている」とバルマー氏。同氏は社員に対し、明確で測定可能な目標を設定し、それを成し遂げるよう呼びかけた。

 「われわれに何ができるのかをより明確にし、それに従って計画を立てよう」と同氏。

 これまではMicrosoftの文化に引っぱられて、社員は無理な目標を立てる傾向があったと広報担当者は語る。

 バルマー氏のメールは、同社全体の状況を反映しているとEnderle Groupの主席アナリスト、ロブ・エンダール氏は指摘する。

 「確かに成長が難しい時期を迎えることを見越して、Microsoftは慎重になっている。スティーブ(バルマー氏)はますます利益率に集中し、アグレッシブな目標を立てている」(エンダール氏)

 電子メールの中で、バルマー氏はMicrosoftが焦点を当てる分野を幾つか挙げている。その内容は意外なものではなく、現行の製品部門すべてを含んでいる。成長のカギは革新であると同氏は述べている。

 バルマー氏が挙げた分野は、継続的なPC市場の成長、Officeユーザーへのソフト販売の拡大、改良版Windows Serverのマーケティング、アプリケーションの開発・管理・統合を容易にするソフトの提供など。

 Microsoft内には、同社がかつてほどエキサイティングな職場ではなくなったという不満もある程度あったが、バルマー氏のメールは兵士たちへの鼓舞の声と見なすべきだとDirections on Microsoftのアナリスト、マット・ロゾフ氏は語る。

 「彼ら(社員たち)がどこにいるのか、どうしてバルマー氏が今なおMicrosoftが素晴らしい職場だと信じているのかを思い出させるものだ。新しい優先事項はあまりない。皆、同社において何をすべきか分かっているようだ」(同氏)

 Microsoftはマーケティング部門をこれまで以上に後押ししているようだとエンダール氏は指摘する。バルマー氏はメールの中で、Microsoft製品をさまざまなユーザーのニーズに合わせてもっとうまくセグメント化しなくてはならず、また同社製品を立ち上げの時だけでなく、ライフサイクルを通してマーケティングするべきだと主張している。

 「多くの顧客がまだわれわれの最新の製品を導入していない。故に、Longhornの世代に達する前に、どうして導入すべきなのかを顧客が理解できるよう支援するだけでなく、そのメリットを実証する必要がある」(同氏)

 Longhornは2006年に登場予定の次期版クライアント向けWindowsのコードネーム。サーバ版のLonghornは2007年に、同OSで計画されている新機能を活用するほかの一連の製品とともに登場する見通しだ。これら製品は既にリリースが延期されている。

 「Longhornで適切な機能を提供するために、やるべき大変な仕事がまだたくさんある。しかしLonghorn後のすべての製品は、同OSの次世代機能を基盤として、統合型の革新を提供するだろう。優れた革新は時に難しく、時間と手間がかかるものだ」(バルマー氏)

 その一方でMicrosoftは顧客、特に大手企業顧客を最新版の製品(Windows XP、Windows Server 2003、Office 2003など)にアップグレードさせるのに苦戦している(2月3日の記事参照)。

 「同社はかなり深刻な問題を抱えている。それはLinuxとの競争ではなく、顧客が十分有用だと見なしている自社の既存製品のインストールベースとの競争だ」とエンダール氏は指摘する。

 Microsoftは、自社製品のポジティブな面を強調することで、セキュリティやオープンソース製品との競争だけでなく、アップグレードに関する顧客の認識に対処しなくてはならないとバルマー氏は語っている。同氏はポジティブなメントして、Microsoft製品の管理のしやすさや開発者・エンドユーザーの間での人気の高さなどを挙げている。

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