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ITにまつわる15の俗説・都市伝説を斬る(4/4 ページ)

» 2004年08月11日 16時06分 公開
[IDG Japan]
IDG
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その12:DOSは死んだ

 MicrosoftのMS-DOSは1981年生まれ、コンピュータにおいてはシルバー割引を受けられる年齢だ。しかしまだ死んではいない。調査会社IDCによると、今年末の時点で使われているDOSは100万本強の見込みだという。ただし、2003年末の220万本からは減ることになる。

 IDCの一番信頼できる見積もりでは、昨年新たにインストールされたDOSはMS-DOS、PC-DOSなど各種DOSを合わせて約1000本だったという。今年はほぼゼロだ。「実際に特定用途ではまだDOSは生きている。だが、利用はまったく増えていない」とIDCのアナリスト、ダン・クズネツキー氏。

 だが目をこらしてみれば、現実世界でDOSを見つけることができる。(古い予約システムを使っている)ホテル、レストラン、車の修理屋、歯医者では、どう見てもDOSに見える画面を見かけることがある。現在DOSが最も使われているのは、コンピュータに一定の機能を実行させる組み込みアプリケーションだ。だがその分野でも、DOSはLinuxに追いやられてお払い箱になりつつある。

 Microsoftは店頭でDOSを販売しておらず、米国など多くの国で新しいライセンスを入手する方法はない。DOSはインドとシンガポールでしか売られておらず、それもコンピュータ組み立て業者を通してしか入手できない。DOSに最も近いのは、MS-DOS互換の「FreeDOS」だ。あるいはeBayに出品されているDOSを買うという手もある(訳注:IBMの「PC DOS」は今も販売されている)。

その13:デバイスを守れるのは値の張るサージプロテクターだけだ

 「サージプロテクターの価格とその効果に直接的な関係は見られない」と話すのは、オレゴン州ユージーンの公益事業者Eugene Water and Electric Boardで上級電気技師を務めるジョー・ウィルソン氏。「ほとんどのサージプロテクターは同じタイプの技術を基盤としており、反応時間(スイッチが入るまでの時間)もほぼ同じだ」

 「高価なプロテクターは、動作中かどうかを示すステータスランプなどの付加機能が付いていることが多い。だからといって、コンピュータを守る能力がほかの製品より高いということではない」(同氏)

 それから、一部のサージプロテクターが宣伝しているエネルギー分散能力(ジュールで示されることが多い)と反応時間にとらわれないことだ、とウィルソン氏はアドバイスしている。これらは信頼できる品質指標とは言えないという。それよりも、サージプロテクターがUL 1499規格であることを確かめるべきだ。UL 1499はUnderwriter Laboratoryのテストに合格したというしるしだ。

 繊細なコンピュータ機器を電圧の急激な変化から守るために、サージプロテクターが必要だということは疑う余地もない。ほとんどの人は外部の電圧変化が一番の原因と考えているが、電気器具用モーターの回転のオン・オフ(冷蔵庫、洗濯・乾燥機、エアコンを考えてみてほしい)による電圧変化など内部の問題の方が多いのだ。

 サージプロテクト付きの電源タップでは、停電や電圧低下の際にデータを守れないが、無停電電源装置(UPS)なら効果はある。UPSには電力を維持するバッテリーが搭載され、ユーザーはPCの電源が切れる前にデータを保存できる。最近のUPSには、バックアップを自動化でき、シャットダウンの手順を設定できるソフトコンポーネントが入っている。サージプロテクターは停電では作動しないが、雷が落ちた場合に作動する。

 警告:比較的新しいマイクロプロセッサほど、電圧の急な変化の影響を受けやすい。プロセッサに集積されるトランジスタが多くなるほど、過剰電圧への耐性が弱くなるとウィルソン氏は説明している。サージプロテクターなしで古いコンピュータを使っている場合、電圧の急上昇も乗り切れるかもしれない。一方、比較的新しいPCは壊れてしまうだろう。

その14:定期的にノートPCのバッテリーをゼロになるまで使い切らないと、バッテリーの持続時間が縮む

 この信仰は、古いタイプのノートPCバッテリー(かさばるニッケルカドミウム電池)を悩ませていた症状から生まれたものだ。この種のバッテリーは、定期的に電力を使い切らないと性能が落ちてしまう(ニッカドバッテリーのノートPCを使っている場合、3カ月おきにバッテリーを使い切る必要がある)。

 最近のノートPCはメモリのないリチウムイオンバッテリーを使っているとカナダの充電器・分析器メーカーCadexの創設者、イジドール・ブックマン氏は説明する。この手のノートPCは、バッテリー持続時間を維持するために電力を使い切る必要はないという。リチウムイオンバッテリーでは電力を使い切るよりも、部分的に消費する方が好まれる。それでも、約30回充電するごとにバッテリーをゼロまで使い切るべきだ。これはバッテリー持続時間を維持するためではなく、電力ゲージ(ノートPCの画面に表示される、バッテリー持続時間の残りを示すインジケータ)の再キャリブレーションのための対策だ。

その15:PCをいじるときは帯電防止用リストストラップをしないと、ハードが壊れてしまう

 われわれは以前から帯電防止用リストストラップを使うようアドバイスしているが、一部の技術者は必要ないと主張している。「私はストラップを付けたことがない。うちの仕事場は床にカーペットを敷いているが、マシンをダメにしたことはない」とコンピュータ修理技師のジェイク・ストローケル氏。「ハードディスクをつかんで感電したことはあるが、ディスクの方は何ともなかった」。カードを差す場合は、金メッキの回路には触れず、端を持てば大丈夫だと同氏は言う。

 静電気(正確な用語で言うと正味電荷)で電子機器を壊してしまう危険性がないというわけではない。人間は3000ボルト以下の静電気は感じない(ちなみに、ボルトではなく3000アンペアだったら死んでしまう)が、CPUなどの繊細な部品は数百ボルトの小さな静電気でもダメになることがある。

 静電気を逃がすためのアドバイスは、ユーモラスだが効果的なもの(金属の指ぬきをはめて、金属でできたものを触る)から、靴底をアルミホイルで包むといったばかげたものまでさまざまだ。アルミホイルを試してみたが、結局はカーペットの上を歩こうとしたときに例のあの現象が起きた。

 安全を期すためには、ストラップを付けることだ。あるいはPCの中をいじる前に、接地コンセントにコードを差してPCのフレームに触れるか、配管など地面に接した金属の物体に触れることで静電気を逃がすという手もある。

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