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Oracleが司法省に勝利、PeopleSoft買収へ前進

» 2004年09月10日 11時37分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米司法省がOracleによるPeopleSoft買収を阻止しようと起こした訴訟で、米裁判所の判事は9月9日、Oracle側を支持する判決を下した。これで、同社の敵対的買収の障害が1つ取り除かれたことになる。

 この判決により、Oracleが15カ月前から進めてきた、PeopleSoft株主から77億ドルの現金で株式公開買付けを行う買収キャンペーンは今後も継続される。

 司法省はOracleによるPeopleSoft買収が反競争的であることを証明できなかったと、カリフォルニア北地区連邦地裁のボーン・ウォーカー判事は164ページにわたる判決文の中で述べている。

 「原告は優位な証拠によって、OracleとPeopleSoftが合併した場合に、関連製品と地域市場における競争が大きく減じられる可能性が高いと証明できなかったため、被告のOracleを支持する判決を下す」と同判事。同判事は命令の執行を10日間保留し、その間に司法省は控訴できる。

 司法省はこの判決に失望していると同省のヒューイット・ペイト局長は声明文で述べ、「当省では複数の選択肢を検討している」としている。

 今回の判決はPeopleSoftにとっては後退となり、司法省には大きな打撃となるが、Oracleにとっては青信号にはほど遠い。そもそも最初から買収の最大の障害は、PeopleSoftの「ポイズンピル」だった。ポイズンピルとは、敵対的買収の費用を法外な額につり上げるために、株式を操作することを認める乗っ取り防止条項。OracleはPeopleSoftのポイズンピルの適法性を問うており、それに関する審理が9月27日にデラウェアの衡平法裁判所で行われる予定だ。

 Oracleは今回の判決に対する最初の反応として、買収に向けた大きな障害が取り除かれると語った。「この判決はPeopleSoftの取締役会に対し、同社株主が当社の申し出を受けられるよう、われわれと会談してポイズンピルを解除する責任を正面から負わせるものだ」とOracleのラリー・エリソン会長は声明文で述べている。

 Oracleは判決後にPeopleSoftの取締役会に書簡を送り、会談を要求したという。

 PeopleSoftは声明文で、取締役会はこれからこの判決の影響を評価するとしつつも、取締役会では既にOracleの申し出が不十分であると考えており、全員一致で却下したと付け加えている。

 OracleはPeopleSoftの買収提案を昨年6月に開始。2月には司法省が、両社の合併によって、わずか3社しかない大企業向け財務・人事管理ソフトメーカーのうち1社が消えるとして、独禁法違反の疑いでOracleを提訴した。

 Oracleが直面するもう1つの障害は、PeopleSoft株主を説得して、買収提案を受け入れさせることだ。Oracleは1株21ドルでの買い付けを提案しており、9日に買い付け期限を24日まで延期した。

 Oracleによると、9日の終わりの時点で、PeopleSoftの発行済み株式の7.2%(約2650万株)が同社に買い付けられていたという。8月27日の時点では2170万株だった。司法省の敗訴で、Oracleの買収が成功する可能性が高くなったと株主が考えれば、この割合は上昇するかもしれない。

 PeopleSoft株はこの日、Nasdaq市場で17ドル95セントで引け、時間外取引で13.7%値を上げて20ドル41セントとなった。Oracleは同市場で9ドル93セントで引けたが、時間外取引で10ドル20セントと2.7%値を上げた。

 またOracleとPeopleSoftは、カリフォルニア州アラメダ郡の州地裁で別の法廷闘争を続けている。この訴訟ではPeopleSoftが、Oracleを不正な事業慣行で訴えている。Oracleはこれに対し、PeopleSoftがOracleの申し出を真剣に評価していないのは違法であり、同社はOracleの買収費用が非常に高くなる可能性がある「顧客保証プログラム」を不正に作成していると反論している。この訴訟の審理は11月に予定されている。

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