AMDはIDF Fall 2004会場近くに設置したデモ会場で、報道陣にデュアルコア版Opteronを搭載したサーバを公開した。公開されたサーバはLinuxを動作させた自社製試作機および、Windows 2003 Serverが動作するHewlett-Packardの「Proliant DL585」。また、動作こそさせていなかったが、Sun Microsystemsの「Sun Fire V40z」も展示していた。いずれも940ピンのプロセッサソケットを4個装備する現行のシングルコア用サーバである。
デュアルコアのOpteronは、シングルコアのOpteronと完全なピン互換を実現しているため、従来のシステムのプロセッサを差し替えるだけで、プロセッサ数を容易に増やすことができる。たとえば4ソケットのシステムならば8プロセッサ、2ソケットのシステムは4プロセッサとしてOSから認識され、それぞれが独立したスレッドを処理可能だ。
AMDによると、デュアルコア版Opteronを動作させるにはシステムBIOSをデュアルコア対応版にアップデートする必要があるが、発熱は130ナノメートルで製造されるOpteronと同等に抑えられるため、サーバベンダーはシステム筐体の熱設計を見直す必要がなく、そのままプロセッサを置き換えるだけでデュアルプロセッサ化が可能になるという。
デュアルコアOpteronは、90ナノメートルプロセス版のシングルコアOpteronと同様のシリーズ展開を行い、最大8ソケット(16プロセッサコア)の800シリーズ、最大2ソケット(4プロセッサコア)の200シリーズ、それにシングルソケット(2プロセッサコア)専用の100シリーズが、それぞれのセグメントに投入される。また、低電圧動作の省電力版も用意される。
デュアルコアOpteronはプロセッサコアと1Mバイトキャッシュをそれぞれ2つ内蔵し、それをクロスバースイッチで1個のメモリコントローラ、3個のHyperTransportチャネルと結ぶ構成だ。従ってメモリアクセスに関しては、2つのコアが1つのメモリチャネルを共有する形となる。
デュアルコアOpteronの出荷は来年の中頃を予定している。またOpteronと同じダイで製造するAthlon 64 FXシリーズも、年末にはデュアルコア化する見込みだ。シリコンの設計はデュアルコアOpteronと同じになるが、サーバ分野への出荷を優先するため、Athlon 64 FXシリーズのデュアルコア版は投入が遅くなる。
IBM、HP、Sunといった大手エンタープライズサーバベンダーとの関係が強化されたこともあり、AMDは確実にインテルが守るエンタープライズ向けx86サーバの市場に食い込んできている。IntelはXeonプロセッサのデュアルコア化に関し、具体的なスケジュールを示してはいないが、ほぼ同時期にデュアルコアでの戦いが開始されることは間違いない。
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