Web標準化団体のWorld Wide Web Consortium(W3C)は10月27日、マサチューセッツ州ケンブリッジで、ライフサイエンス分野のセマンティックWeb技術に重点を置いたワークショップを開催した。
W3Cは、セマンティックは一般的にはWeb、とりわけライフサイエンスの分野において、情報の検索・統合・分析方法を改善する上で重要な役割を果たすと考えている。
「ライフサイエンス分野におけるセマンティックWebに関するワークショップ」と題された27日の会合では、リソース記述フレームワークやOWL(Web Ontology Language)といったセマンティックWeb技術が、ライフサイエンスデータの相互互換性の向上や、そうしたデータの分析・統合・コラボレーションに伴う障害およびコストの削減にどのように用いられているかを説明した、約30枚に及ぶ資料が配布された。
W3Cメンバーのジョン・ウィルバンクス氏は次のように語っている。「ライフサイエンス分野の情報を、W3CのセマンティックWeb技術をベースとした相互連結データネットワークにマッピングする作業は、既にかなりの段階まで進んでいる。ライフサイエンスコミュニティーの積極的な参加により、今回のワークショップが情報共有のための機会がもっともたらされ、現行の主導的な取り組みを基に今後こうした動きがさらに活発化するものと期待している」
またW3Cのディレクター、ティム・バーナーズ=リー氏は次のように語っている。「ライフサイエンスの多くの分野に渡ってデータを統合できるようにならないことには、新薬開発に伴う問題は解消できない。これまでにもほかの業界がそうだったように、ある分野がデータの標準技術を採用すると、そのデータはほかの分野からもアクセスできるようになり、その結果、情報共有のための障壁が消えることになる。それこそがセマンティックWebの核心だ」
ウィルバンクス氏とバーナーズ=リー氏の発言は、前もって用意されていたコメントの一部だ(ほかの標準化団体の場合と同様、W3Cの27日のワークショップは報道機関には公開されなかった)。
ワークショップでは、バーナーズ=リー氏が基調講演を行っている。そのほかに同ワークショップには、AstraZeneca、Aventis Pharmaceuticals、Elsevier、HP、IBM、Jackson Laboratories、米国国立癌研究所(NCI)バイオインフォマティクスセンター、Oracle Life Sciences、Swiss Institute of Bioinformatics/UniProt、ミシガン大学医学部などから代表者が参加した。
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