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年末あいさつにカレンダー、シリコンバレーでも常識?

» 2004年12月10日 15時50分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 12月も半ばにさしかかり、ビジネスマンも年末のあいさつ回りに追われ始めるころ。あいさつの手土産に、自社カレンダーを持って行く人も多いだろう。

 「テクノマップ東京」は、そんな“手土産のカレンダー”のひとつだ。東京のマップ内に、都内のIT企業98社(2005年度版)を掲載した同マップは、年間約2万部を発行している。

テクノマップ東京(2005年版)

 年末あいさつ用カレンダーというと、いかにも日本的な商品に思えるが、発行元はなんと米国。シリコンバレーの企業Trestriaが発行している。

 同社の主力商品は、シリコンバレーのIT企業をマップにおさめたカレンダー「シリコンバレーマップ&カレンダー」。1990年に第1弾を発行した。

シリコンバレーマップ&カレンダー(2004年版)

 ビジネスモデルはシンプルだ。100枚以上受注すれば、企業の所在地をマップ上に掲載し、下部にロゴを載せる。受注数と発行数が同じなので、販売ロスがない。2005年度版の価格は100枚2650ドル。2年以上継続契約したり、発注枚数を増やせば、割り引きが受けられる。

 クリスマスプレゼントとして、また、シリコンバレーで働くビジネスマンが実家に帰る際の手土産としても人気で、現在は年間約20万枚を発行しているという。

 「シリコンバレーを象徴する何かが欲しかった」――同社のジル・アーメンCEOは、マップ発行を思い立ったきっかけをこう話す。同社設立前は、シリコンバレーの半導体メーカーでマーケティングマネージャーだったアーメンさん。遠くから訪ねてきた客に、手土産として渡せるものが欲しいと常々思っていた。

 シリコンバレーを代表するものといえば、ハイテク企業。各企業を一同に集めたマップがあれば喜ばれるのではないか。カレンダーなら毎年更新され、最新の状況が分かる――そう思い、マップ作成会社を設立した。

 スタート初年、1990年の掲載企業は70−80社。シリコンバレーで知名度が上がるにつれ掲載希望企業も増え、2005年版は約150社のロゴがひしめく。

 ただ現在、掲載を希望する企業の数は、ネットバブル期よりは少ない。「スペースの関係上、載せられる企業は約150社まで。2000年前後は、あふれた企業がキャンセル待ちの長い列を作っていた」(アーメンCEO)が、今は、申し込んだ企業ほぼ全部が掲載できるペースに落ち着いた。

 一度掲載した企業が、次の年も継続掲載する率は、バブル前は80%を超えていたが、バブル後は60%前後に急落。相次いだIT企業の倒産や合併が、マップにも影を落とす。

 ただ、来年度版の継続率は高そうだという。バブル以来、ドットコム企業は凋落したが、代わってWi-Fi機器メーカーやバイオ企業など新興ベンチャーが元気。シリコンバレー景気は上向きになりつつあるという。

 日本版の「テクノマップ東京」は1999年にスタートした。シリコンバレーでマーケティング企業の社長を務める片岡はづきさんが、シリコンバレーマップを見た時、東京版も作ってみたいと考えたのがきっかけだ。片岡さんはTrestriaと協力して発行を開始。国内では日広が総代理店を務める。

 日本版はネット関連企業がメイン。Yahoo!JAPANや楽天、MSN、goo、excite、ライブドアなど大手ポータルが名を連ねる。日広の加藤順彦社長は「ネット界を代表する企業を網羅したい」と意気込み、来年度版も参加企業を増やしたいと話す。

日広の加藤社長(左)と、Trestriaのアーメン社長

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