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Red Hat CEO、「中国クエスト」を語る

» 2004年12月17日 18時33分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米カルフォルニア州北部にあるRed Hatの本社では、マハトマ・ガンジーの言葉が壁を飾っている――「彼らは最初あなたを無視し、次にはあざ笑い、次に挑みかかってくるるだろう。そうなったら、あなたの勝ちだ」。この言葉は、ハイテクマニアのゲリラ活動としてスタートし、本格的な戦いへと発展した会社にふさわしく思える。

 この戦いが最も激しいのは中国だ。北京に現地法人を開設するというRed Hatの11月の発表は、「3年半がかりの取り組み」だと同社CEO(最高経営責任者)兼会長兼社長のマシュー・ズーリック氏は話す。同氏のまるで兵隊を集める用意をしているかのようだ。

 ボストン生まれ(そして誇り高きレッドソックスファン)で語り口穏やかな同氏は、ステージでサルのように踊ったり、戦時のコンシリアリ(相談役)として誰かを攻撃したりはしない。本社に飾ったガンジーの言葉が示すように、同氏は明らかに自分の側を勝利に導こうと決心している。

 「(中国への)進出は製品を売るためではない。これは10〜25年続く旅の始まりだ」(ズーリック氏)

 採算の取れるLinuxビジネスを確立する手段として製品を販売するやり方は、ズーリック氏の好む戦略ではない。1999年に前任のボブ・ヤング氏から会社を引き継いだ時、ズーリック氏はサブスクリプションモデルを推し進めた。

 コアが自由に公開されているものをベースにした製品を販売しようとするのは、企業、特に公開企業が進む道ではなかった。

 その代わりに、Red Hatはデリバリーに集中している。同社はオープンソースソフト自体に課金することはできないが、製品をアップデートし、サービスを提供し、1時間ごとにアップデートを提供して、新版が登場するとすぐに顧客にデリバリーすることで料金を課すことができる。

 「当社の戦略的な競争上のアドバンテージは、箱売りのソフトではなく、継続的な改良にある」とズーリック氏。

 このため、同社の責務となるのがアプリケーションの可用性だ。「もはや2、3時間のダウンタイムも受け入れられない。場合によっては2、3分でもダメだ」と同氏。

 同氏はまた、Red Hatはデスクトップではなくサーバにフォーカスしてきたと語る。サーバではほとんどの人がLinuxを採用するだろうと同氏は考えている。「当社は、『他社製品と比較した自社製品の機能』が技術的に維持できるアドバンテージになるとは思わない」

 同氏は、中国は「われわれの人生において最も重要な機会」だとしている――Red Hatはインドで既に5年間営業している。また同社は既に中国で、China Mobile、China Telecomなどの顧客を獲得していると同氏は付け加えた。

 ズーリック氏のコメントは、「現在のエンタープライズLinux市場の規模は約1500万ドルだが、成長している」とするIDCの予測に基づいている。同氏は、中国におけるRed Hatの最初の投資は「控えめ」なものだとし、金額を明かすことはしなかったが、向こう12カ月で同国に60〜75人のスタッフを置きたいと語った。

 同氏は中国でのLinuxに対する認識の高さに驚いたという。「今週会った人たちは皆、Linuxやオープンソースソフトについて説明する必要がなかった」

 Linuxの宿敵についての話は避け、ズーリック氏は、Microsoftが政府機関にソースコードを開示したことを脅威ととらえていると語った。だが、「これは点心のブッフェのようなものだが、どの料理でも選べるというわけではない」とも指摘した。

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