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» 2004年12月21日 19時50分 公開

国内電子工業生産、3年ぶり20兆円台に

デジタル映像機器の市場拡大が今年の国内電子機器生産を引っ張った。来年は若干のブレーキがかかるとの予測だが、「あくまで一時的な調整局面」との見方だ。

[小林伸也,ITmedia]

 電子機器メーカーで構成する電子情報技術産業協会(JEITA、会長:安藤国威ソニー社長)は12月21日、今年の国内電子工業生産見込みと来年見通しをまとめた。今年の総生産は前年比6.1%増の20兆4827億円となり、3年ぶりに20兆円台に回復する見込み。来年は若干の景気減速を織り込みつつ、引き続きデジタル家電が全体をけん引するとの予測だ。

成長続くデジタル家電、伸び悩む携帯電話

 今年は薄型TVやDVDレコーダーなどのデジタル映像機器が大幅増となり、同機器を含む民生用部門は前年比14.6%増の2兆6520億円と2けた成長となった。

 一方、産業用部門に含まれる携帯電話は需要の飽和や3G移行への端境期、前年の大幅増に対する反動から伸び悩んだ。同部門に含まれるPCも、需要が本格回復しない上、生産の海外シフトも加速。同部門全体ではほぼ前年並みの7兆7736億円(前年比0.4%減)となった。

 電子部品・デバイス部門はデジタル家電生産の拡大や、急速に進む自動車の電子化に合わせて好調。前年比9.5%増の10兆571億円となった。

 2005年見通しは前年比2.9%増の21兆670億円。デジタル景気の一巡や円高、原油高による景気減速といったマイナス要因はあるが、設備投資や個人消費の緩やかな拡大から堅調な伸びを予測した。

・電子工業生産全体(単位:億円、カッコ内は前年比%)

2003年 2004年(見込み) 2005年(見通し)
民生用 2兆3137(114.2) 2兆6520(114.6) 3兆190(113.8)
産業用 7兆8044(103.7) 7兆7736億円(99.6) 7兆6635(98.6)
電子部品・デバイス 9兆1825(107.4) 10兆571(109.5) 10兆3845(103.3)
合計 19兆3007(106.6) 20兆4827(106.1) 21兆670(102.9)

・主な品目ごと(単位:億円、カッコ内は前年比%)

2003年 2004年(見込み) 2005年(見通し)
TV 4228(124.6) 6230(147.3) 9098(146.0)
DVD 1375(160.8) 1580(114.9) 1750(110.8)
デジタルカメラ 5919(135.7) 7600(128.4) 8400(110.5)
携帯電話 1兆9235(136.3) 1兆8081(94.0) 1兆8099(100.1)
PC 1兆2009(91.2) 1兆1720(97.6) 1兆504(89.6)
液晶 1兆5365(107.4) 1兆8826(122.5) 2兆1210(112.7)

来年はあくまで「一時的な後退局面」

 安藤会長は「原油高、円高など懸念材料に注意は必要だが、中長期では悲観の必要はなく、成長余力は十分ある」とみる。ただ「シリコンサイクル的には来年は後退局面。デバイスのペースが月を追うごとに落ちてきている」と来年は若干のブレーキがかかるとの見通しだ。

 だが「デジタル家電は世界的にみればこれからの市場で、今後は輸出も伸びるだろう。ITバブル時とは(産業全体の)幅が広くなっており、今回は一時的な後退局面だと思っている」とした。

 年末商戦でもデジタル家電は好調。だがメーカーの想像を上回るペースで進む価格下落で“利益なき繁忙”が始まっているとの指摘もある。「薄型TVはこの1年間で25−30%価格が下落した。一般消費者にとってはいいことだが、企業は収益的には楽観視していないだろうと思う」(安藤会長)。

 ただし安くなることで需要を一層刺激する面があることは来年予想に織り込み済み。より魅力的な高付加価値機能の開発やコスト効率の向上など、単なる体力勝負の安売り合戦の回避へ各メーカーの知恵も問われそうだ。

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