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VSLive総括:「PCクライアントの価値」を強調したMicrosoft(1/2 ページ)

» 2005年02月15日 20時43分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米サンフランシスコで先週開催されたVSLiveカンファレンスで、MicrosoftはPCクライアントと、来るべき開発プラットフォーム「Visual Studio 2005 Team System」の宣伝に力を入れた。

 最近の流行はWebベースのクライアントだが、Microsoftはいまだ、自社の主軸のWindows PCクライアントの存在価値を信じている。VSLiveで2月7日、同社のVisual Studio Tools for Office担当シニアプロダクトマネジャー、BJ・ホルトグリュー氏は、IBMとSunも、最近では従来型クライアントベースシステムを支持していると語り、Microsoftはずっと、PCクライアントの信奉者であり続けてきたと強調した。

 「IBMとSunに対しては、パーティーへようこそ、と言いたい。Microsoftがこのパーティーを欠席したことは一度もない」とホルトグリュー氏。

 従来型のクライアントは、軽蔑を込めて「ファットクライアント」とも呼ばれてきた。だがホルトグリュー氏は、PCクライアントは、ただサーバからアクセスされるのではなく、それ自体でソフトの実行が可能なため、ブラウザベースのクライアントよりも機能的に優れていると強調した。同氏によれば、ブラウザはデータの閲覧にはいいが、複雑な操作には向いていない。

 ホルトグリュー氏は、年内にリリース予定の開発ツールプラットフォーム「Visual Studio 2005」にスポットを当て、サンプルの不動産アプリケーションにタスクペインオブジェクトを配置する作業を紹介した。このタスクペインの表示に要するコードはたったの1行。現在は600行のコードが必要だ。このアプリケーションでは、OfficeのISmartDocument APIが使われている。

 MicrosoftはVisual Studio 2005のバージョンの1つである「Visual Studio 2005 Team System」のデモも行った。これはチームベースの開発とアプリケーションライフサイクル管理を想定した製品。

 「われわれの目標は、ソフト開発のライフサイクルツールの大規模な市場を創造することだ」と、MicrosoftのVisual Studio Team Systemテクニカルプロダクトマネジャー、アジェイ・スーダン氏。このグラフィカルパッケージは、アーキテクチャ、開発、テスト用のロールベースのコンポーネントと、バージョン管理、チームベースのレポーティング、アイテムトラッキング、インテグレーションサービスなどの機能のためのTeam Foundationコンポーネントを特色とする。

 2月8日には、リリース間近のWebサービス技術「Indigo」が紹介された。Indigoを機能させるには.NET FrameworkとWindowsが必要だが、ほかのプラットフォームとの相互運用も可能だと、MicrosoftのWebサービス技術マーケティング担当リードプロダクトマネジャー、アリ・ビックスホーン氏は説明した。

 MicrosoftにはIndigoのコードを同社のShared Sourceプログラムまたはオープンソースで公開する意向があるかという質問に対し、ビックスホーン氏はそうした計画はないと答えた。Sunの製品とIndigoとの連携について何か発表の予定はあるかという質問にも、同氏は答えなかった。SunとMicrosoftは2004年4月に技術共有を目的とした提携を結んでいる

 「それに関して今日話すべきことは何もない」(ビックスホーン氏)

 VSLive、あるいは同時開催のWindows Anywhereカンファレンスでは、サードパーティー数社からの発表もあった。

 Micro Focus Internationalは、IBMメインフレーム、Windows、UNIX、Linuxなど各種プラットフォーム用のレガシーアプリケーション開発のための単一の統合開発環境(IDE)としてVisual Studioを採用したと発表した。同社は、.NET、Java、XML、Webサービスでのビジネスクリティカルな資産の再利用を支援する製品を専門としている。

 Agilix Labsは「InfiNotes」のリリースを発表した。InfiNotesは.NET Framework上に構築されるTablet PC用新旧アプリケーションにデジタルインク機能を追加するコントロールセット。Standard Editionは、Windows Journalライクな機能で基本的な手書きを可能にする。ソフト自体は無料で、開発者サポート料は、1指名開発者当たり295ドルとなっている。Professional Editionはリッチテキストフォーマットに対応、価格はサポート込みで1指名開発者当たり995ドル。

 Bluewire Technologiesも.NETにデジタルインク機能を追加する製品「BluewireInk」を発表した。Tablet PC対応のこの製品は、特にInternet Explorer用Webアプリケーションでの使用を想定した設計となっている。価格は1開発者当たり100ドル。

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