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チップの上に線虫の世界を再現

» 2005年02月18日 15時52分 公開
[ITmedia]

 独立行政法人の農業・生物系特定産業技術研究機構とイガデン(茨城県石下町)はこのほど、線虫が住む土壌の微細空間をモデル化してチップ上に形成した「オンチップ型マイクロコズム」を開発した。線虫の生態を詳細に観察でき、環境保全や農作物の安定生産などに貢献できるとしている。

 微細加工技術を使い、透明樹脂製の基板上に土壌内部の微細なすき間などを再現したモデルを作製。計測・制御用の電極基板と貼り合わせ、合わせ目にできた微細空間に線虫を放し、行動を観察する仕組みだ。

 研究成果を元にイガデンが「センチュウチェッカー」を製品化した。単3形乾電池×4本で動作し、サイズは195(幅)×120(奥行き)×137(高さ)ミリ、重さ1.6キロと屋外に持ち出して使用できる。31万画素CCDとUSBインタフェースを搭載し、撮影した画像をPCから確認することも可能だ。価格は40万円。

 生物学の研究材料としてポピュラーな線虫は、土壌循環などに重要な役割を果たしていると考えられてる一方で、農作物に被害を与える種類もいる。だが生態の多くは未解明。従来は寒天などの上に放って観察してきたが、本来の生態の解明には、土壌内部の微細空間を使った研究が必要とされてきた。

 センチュウチェッカーは、2月23〜25日に開かれる「国際ナノテクノロジー総合展」(nano tech 2005、東京ビッグサイト)に出展する。

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