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Mac OS Xウイルス作成コンテスト、法的責任問題で中止に

» 2005年03月29日 09時13分 公開
[IDG Japan]
IDG

 Apple ComputerのOS X搭載コンピュータで自動拡散する初のウイルスに2万5000ドルの賞金を懸けていた企業が、法的責任に関する懸念を理由にこのウイルス作成コンテストを中止、懸賞金も撤回した。

 DVForgeは3月26日、Macウイルスへの懸賞金は出さないと表明した。このコンテストをめぐる法律上の懸念、およびAppleのセキュリティ専門家からの申し入れに対応した。コンテストは25日に発表され、DVForgeのジャック・キャンベルCEOに言わせれば、ウイルス対策ソフトメーカーSymantecが恐怖をあおっていることに対して認識を広めるのが目的だった。Symantecは先日、Appleプラットフォームを脅かす攻撃が増えているとの報告を発表している。

 DVForgeはApple製品向けの各種周辺機器メーカー。携帯音楽プレーヤーiPodに接続して使う小型のギターアンプモジュール「JamPod」などを手掛けている。同社は社内でもAppleコンピュータを利用、Apple技術専門家とファンの集団だという。

 OS Xプラットフォーム初の自己増殖型ウイルス作成コンテスト主催のアイデアは、広く伝えられたSymantecの報告書についての苛立ちに起因するものだという。この報告書でSymantecは、悪質行為といえばWindowsやUNIXベースOSと関連付けられることが多いが、Mac OSもこの標的になりつつあると分析していた。

 Symantecのこの警告には根拠がなく、「人々を震撼させる」ことのみを目的としたものだとキャンベル氏は主張。Symantecの言い分を読んで、同氏も含む同社従業員は「われを忘れ」、この報告書はAppleのみならずDVForgeの事業にとっても脅威だと考えたという。

 コンテスト主催のアイデアはDVForgeの技術スタッフとの会話から生まれ、Symantecの「脅し」に警鐘を鳴らす目的だったとキャンベル氏は説明する。

 同社はOS X 10.3 Panther搭載のG5 PowerMac 2台をインターネットに接続、インターネットユーザーに向けて、この2台の間で拡散するウイルスを7月31日までに作成するよう呼び掛ける声明を同社のWebページに掲載した。Symantecへの当て付けに、もしSymantec従業員がこのコンテストで勝利した場合は懸賞金を2倍の5万ドルにすると持ち掛けていた。

 しかしこのコンテストの話がオンラインを通じて口コミで広まる中、キャンベル氏はOS Xのセキュリティを専門とするApple上級社員から連絡を受け、そのようなウイルスを作成するのは難しいが可能だと伝えられた。このApple社員はキャンベル氏にコンテスト中止を要請。同氏はまた、知的財産権弁護士やMacファンからも連絡を受け、ウイルス作成は違法行為とされる可能性があり、DVForgeのコンテスト主催は違法行為ほう助に当たると見なされるかもしれないとの指摘を受けた。

 法的論争に巻き込まれることへの不安から、キャンベル氏は26日にこのコンテストを中止。しかし、Symantecおよび「ウイルスの仕組みに関する知識の欠如に突け込んで恐怖をあおる連中」の主張に対し、強い口調で反論する声明をDVForgeのWebサイトに掲載した。

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