日立グローバルストレージテクノロジーズ(HGST)は4月4日、垂直記録技術を基盤とするHDDを年内に販売開始することを発表する予定だ。まだ商品化されていないこの技術により、現在の限界を超えてHDD容量を拡大し続けることが可能になるはずだ。
同社は既に垂直記録技術を使ったサンプルHDDをテストしている。この技術によって、2007年にデスクトップ用1T(テラ)バイトHDDや20Gバイトマイクロドライブが実現するかもしれないと同社は話している。
垂直記録技術は、おそらくHDD技術の進化において、短期的には最も重要なステップだろう。この手法は現行のHDDで使われている水平記録技術と似ている。水平記録技術は磁気によって粒子を磁化してデータを保存し、磁性粒子のN極とS極がディスクと平行に向いている。だが新手法では、磁性粒子がディスクと垂直の方向を向く。
その結果、各粒子がディスク表面に占める領域が小さくなり、ディスクにより多くの粒子を詰め込めるようになる。これは記録密度で示され、現在最も高度なHDDは平方インチ当たり100G〜120Gビットのデータを格納できる。
「垂直記録技術がなければ、既存技術は平方インチ当たり120G〜130Gビットくらいで行き詰まるだろう」とHGSTの主任技術者ジョン・ベスト氏。「水平記録技術はビットサイズに関して大きな問題に直面しつつある」
これに対し、HGSTは、新手法を採用したHDDの記録密度は2007年に230Gビット/平方インチになると見ているという。これは3.5インチHDDで1Tバイト、1インチHDDで20Gバイトを実現できるとベスト氏。
HGST初の垂直記録HDDは、約120Gビット/平方インチとより控えめな記録密度で年内に投入される可能性が高い。同社は現在、記録密度80Gビット/平方インチの技術を使った100Gバイト2.5インチHDDのフィールドテストを行っている。
ユーザーにとってうれしいことに、この新HDDは機械的な性能や価格の点で現行HDDと大きく違わないはずだ。
ほかのHDDメーカーも、垂直記録技術の研究開発に余念がない。HGSTのライバルである東芝も、この技術を採用したHDDを発表している(12月14日の記事参照)。同社はこの日、2種の1.8インチHDDを間もなく投入する予定であり、40Gバイト版は4〜6月期、80Gバイト版は7〜9月期に登場すると明らかにした。これらHDDはiPodなどの音楽プレーヤーで使われているものと似ており、より大容量あるいはより薄型のプレーヤーが実現するかもしれない。
東芝のHDDは記録密度が133Gビット/平方インチに拡大しているため、1枚のディスクプラッタに約40Gバイトのデータを格納できる。これによって40GバイトHDDの厚さが8ミリから5ミリに減り、1.8インチHDDの容量は60Gバイトから80Gバイトに増える。
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