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「少子」時代のハイテク玩具は「高齢化」市場へ

» 2005年04月05日 19時44分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 セガトイズは4月5日、TVに接続し、ソフトを入れ替えて遊ぶ幼児向け知育玩具「PICO」の新製品「Advanced PICO Beena」(税込み1万3440円)と対応ソフトを8月6日に発売すると発表した。PICOシリーズは1993年に第1弾を発売し、累計340万台以上を売り上げたヒット商品だが、ここ数年販売が伸び悩んでいた。少子高齢化で玩具市場が先細る中、“逆転の発想”で高齢者向けにも対象を拡大する。

Advanced PICO Beena

 PICOシリーズは、本体をTVと接続して使う知育玩具。操作は本体のボタンと内蔵タブレット、付属のペンで行う。ソフトは絵本と一体化しており、絵本のページをめくるとTV画面も変化する仕組み。

 新製品は、TVに接続しなくても遊べる機能を新たに備えたほか、2人同時プレイが可能。アプローズテクノロジーズと共同開発した1チップLSI「AP2010」を搭載し、画質と音質を高めた。

折りたたんで持ち運べる。折りたたみ時のサイズは360(幅)×290(高さ)×60(奥行き)ミリ

 本体と同時に発売するソフトは「それいけ アンパンマン!はじめてかけたよ!おぼえたよ!ひらがな・カタカナ〜50音ボード付き」(税込み4179円)など2本。8月中に「ふたりはプリキュア Max Heart」(同4410円)を含む3本を発売し、順次拡充する。

新市場開拓へ

 「既存玩具だけでは業界がシュリンクしてしまう」――同社の國分功社長は、少子化による市場縮小への危機感を強めている。「ムシキング」の大ヒットで好調な同社だが、PICOを柱とするエデュテイメント(教育+エンタテインメント)事業の売り上げは2001年度をピークに右肩下がり。「新しいマーケットを作る必要」(國分社長)に迫られる同社が狙いを定めたのは、少子化の一方で増え続ける高齢者だ。

 介護や福祉関連事業を行う日本ケアサプライと協力。高齢者向け知育コンテンツを開発し、秋ごろ発売する予定だ。高齢者向けコンテンツはPICOの従来モデル向けにも開発する。

 さらに、安全な食べ物や食糧問題について教える「食育」(服部学園の服部幸應理事長が監修)ソフトや、防犯や安全対策について学べるソフトも発売する予定。知育玩具の枠にとらわれず、広範な分野をカバーしていく。ソフト開発では、講談社や小学館、タカラ、トミーなど多彩な企業と手を組むことで充実させる。

 海外市場の開拓も拡大する。PICOの海外展開は従来、中国のみで行っていたが、新製品は北米でも販売する計画だ。

 初年度は本体出荷は25万台、売り上げ35億円を目指す。

LSIの外販も

 新製品に内蔵したAP2010は、CPUにARM7を採用し、画像、音声、ヒューマンインタフェース回路を搭載した1チップLSI。同社が来週発表予定の「エンターテインメント分野向けハード」(國分社長)など他製品にも搭載するほか、外販も行う計画。「ICそのものを活用したビジネスを進めたい」(國分社長)。

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