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「似た曲探し」を可能にするMicrosoftの新特許

» 2005年07月08日 17時06分 公開
[IDG Japan]
IDG

 今週Microsoftが取得した特許は、音楽タイトルなどのオンラインメディア検索をパーソナライズする新技術の発明をにおわせるものだ。

 7月5日に認可が下りたこの特許は、ユーザーがメディアを分析し、DSPといったコンピュータによる分析機能と合致させる「fundamental properties(基本的特性)」を適用できるようにするトレーニングに向けた手法だ。

 もともと2001年8月21日にシアトル在住のジェフリー・R・スタンフィールド氏とエリック・バスマン氏が出願した特許出願書類には次のように記されている。「出願した発明は、音楽などのメディアを分析し、楽曲あるいは楽曲の一部といったメディアのいかなる断片の基本的特性をも認識・査定できるよう、被訓練者を訓練するためのシステムと方式を提供する」、「出願した発明のプロセスには、初期チュートリアルならびにダブルグルービングプロセスが含まれる」。

 出願書によると、いわゆるダブルグルービングと呼ばれる段階では、音楽における基本的特性の分類用語を定義した専門家のスキルを使って特性を認識させる訓練を行い、被訓練者の査定結果と専門家のそれを「高度に寛容」な範囲で照合する。

 「十分に高いレベルでリスニングによる照合のコンセンサスが得られれば、新しいリスナーは“グルーバー”(音楽のグルーブを理解できる人)となり、新しい楽曲や楽曲の一部を分類できるようになる」と出願書には記されている。

 シカゴの法律事務所Kirkland & Ellisで知的財産実務を扱うジェフ・ノーマン弁護士によれば、Microsoftが特許を取得したこのトレーニングシステムは、楽曲中の認知されている特性――音量、テンポ、使われている楽器など――とDSP技術を照合するデバロッパー向けトレーニングに利用でき、デベロッパーはこれを使って新ソフトの開発に取り組めるという。

 「ユーザーは自分の分類とDSP分析とを合致させるトレーニングが受けられ、コンピュータはそのユーザーが正しいか正しくないかを判断できるようになる」とノーマン氏。

 さらに同氏は、こうした技術は、例えばMSN.com上でオンライン音楽を探す電子コマースユーザーの検索をパーソナライズ化したり、高度にインテリジェントな検索エンジンに組み入れて似通ったサウンド別に音楽を識別できるようにすることも可能だと、同氏は言い添えた。

 「MSNミュージックでレッド・ツェッペリンの“Black Dog”と似ている音楽が欲しいと思ったらどうしたらいいだろう? ほかの人がこれまでにオーダーした音楽を見てみるか、ツェッペリンのほかのタイトルを探したらいいだろうか? どうやらMicrosoftの考えは、例えば“Black Dog”の特性を認識し、ユーザーがクリックして(関連音楽を探し出せる)、(音楽)分類法を提供するシステムを構築したいようだ」(ノーマン氏)

 実際、Microsoftは出願書の中で、Amazon.comやBarnesandNoble.comなどで採用されている類の、音楽の検索/引き出し用「現行分類システム」では不十分であり、「このことは、ソフトウェアベンダーであるMicrosoftがオンラインメディアコンシューマーのためにより良い検索体験の提供を試みていることを示している」と述べている。

 7日時点でMicrosoftからコメントは得られなかった。

 Yankee Groupのシニアアナリスト、パトリック・マホーニー氏によれば、Amazon.comがユーザーの購入履歴に基づいてほかの商品を勧める手法を採用して以来、デジタルメディアコンテンツの検索技術は大きな進歩を遂げておらず、Microsoftが新たな手法を模索していることは理にかなっていると語っている。

 「明らかにこれは次なるステップだ。総合的なデジタルコンテンツ市場を見てみると、分類と検索機能は現在形成期にある。今以上に効果的なデジタル検索サービスを作るには、検索技術をより深くする必要がある。これらをもっと効果的に、もっと多くのコンシューマーに利用してもらうためにはどうしたらいいか?――これこそ今Microsoftが思案していることだ」

 Microsoftは、次世代Windowsのコードネーム「Longhorn」に統合する、より質の高い、効果的な検索エンジンの技術開発に取り組んでおり、同社幹部は検索エンジンで現在中心的存在のGoogleに真っ向から対決する考えだと公言している。

 このほか同社は、デジタル音楽のオンライン販売でApple Computerなど多数の企業とも競い合っている。

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