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自民党が“ブロガー記者会見”

» 2005年08月26日 15時34分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 衆院選公示を5日後に控えた8月25日、自由民主党は、著名なブログやメルマガ作成者を招いた懇親会を開いた。ネットエイジの西川潔社長やはてなの近藤淳也社長などが出席し、武部勤幹事長らと約1時間対話した。

 “ネット界の有名人”を招いての直接対話は、自民党としては初。広報部長代理で参議院議員の世耕弘成氏は「始める前は戦々恐々としていたが、非常に有意義な意見交換ができた」とほっとした表情。今後も同様な試みを行いたいと話した。

武部幹事長の話に耳を傾けるブロガー達

 自らもブログを公開している世耕議員は「今回の選挙は、ブログやネットが大きな影響力を持つ初の選挙。ブロガーの皆さんにも政策情報を提供したい」と懇談会の意図を説明。武部幹事長は「ネットのおかげで国民と幅広いコミュニケーションがとれるようになった」などと話した。

 参加者は、自民党が選んだブロガーやメルマガ発行者33人。「日本ブロガー協会というものがある訳ではないので」(世耕議員)、雑誌などを参考にして人気ブログを調べ、約100人に招待メールを送ったという。招待ブロガーの1人・泉あいさんは、「GripBlog」で質問内容を募集するなど、ブログならでは試みを行っていた。

 自民党からの参加者は武部幹事長と世耕議員の2人。安部晋三幹事長代理も参加予定だったが、台風で交通機関が止まった影響で不参加となった。

 「記者懇談会のように、質問を受け、それに答えるという形式にします」――世耕議員がこう話した場に、記者は1人もいなかった。新聞や雑誌、テレビなどの“職業記者”の入室が許されたのは、冒頭の武部幹事長のあいさつだけ。記者はその後退出したため、懇親会はさながら、ブロガー専用記者会見といった様子だ。

携帯やデジカメで写真撮影するブロガーも。撮影後携帯電話をいじっていた人もいた。リアルタイムで更新していたのかもしれない

 壁越しに聞こえてきた質疑では、グロービスの堀義人社長が「各候補の政策をネットで一覧できるようにしたかったが、公職選挙法に触れる恐れがあってできなかった。公選法を改正して欲しい」と要望。武部幹事長は「(法律を改正できるよう)次の選挙に向けて積極的に努力したい」と話した。

武部幹事長は「ライブドアの堀江さんに初めて会った時、『政治家は徳を身につける必要がある』と説いたら、2回目に会った時、彼は少年のような顔をしていた。短い間で人は変われるもんだと思った」などと話していた

 ネットエイジの西川潔社長は「最近は、ブログを読むだけで選挙の動きが追えて便利」と話した後、「郵政民営化後に流動化する莫大な資金は誰が運用するのか」と質問。世耕議員は「民間には資金運用のプロがたくさんいる。人材を集めていきたい」などとした。

 はてなの近藤社長は「情報伝達手段が発達した今、自民党のWebサイトなどで党内の議論を公開するのは簡単はなず。小泉首相のメルマガ以外で情報公開したり、逆に、国民が党に意見を言える仕組みを作る予定はないのか」と質問。世耕議員は「毎朝の会議は、議事録の概要をネット公開している。会議の動画配信なども可能だろうが、議員がしゃべりたがって収集がつかなくなりそう。国民から意見を募るメーリングリストはあるが、9割以上がひぼう中傷で、意見を吸い上げ切れていない」などと話した。

懇親会後、はてなの近藤社長は「自民党が意外と情報公開していたことに驚いたが、まだまだ努力できそう」などコメント
クイズプロデューサーでブログ「発想源」作者の弘中勝氏は、懇親会については「うーん」と一言。「ブログに書きます」

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