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HDTVでα波向上、学習効果も?――ベネッセ

» 2005年09月01日 17時22分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 ハイビジョン映像観賞時は、従来のSD映像を見ている時よりもα波が多く発生している――ベネッセコーポレーションのシンクタンク・ベネッセ教育研究開発センターと、独立行政法人メディア教育開発センターは9月1日、こんな実験結果を発表した。

 大学生・大学院生8人を対象に、240×320ピクセル、480×640ピクセル、960×1280ピクセル(HDTV)と3種類の解像度の静止画を見せたところ、解像度が高い画像の観賞時ほど、α波が多く発生したという。動画でも同様な結果が出たとしている。

photo 静止画を観賞した際のα波の分布、8人の平均。左から240×320ピクセル、480×640ピクセル、960×1280ピクセル時

 ハイビジョン映像観賞時は、ストレス状態にある時に分泌されるホルモンやアドレナリンが減少し、ドーパミンが増えることも分かった。また、精細度が高まるほど「分かりやすい」「興味が持てる」「うるおいがある」といった評価が高まることが分かった。

 ハイビジョンの学習効果を測定するには別の実験が必要だが、ハイビジョン教材は、コンテンツへの理解を深め、学習意欲を高めるきっかけになりうると両センターは期待している。

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 また、学習コンテンツを活用した授業の効果を測定する実験も行った。熊本県内にある小学校の5年生の社会科の授業で、静止画や動画などの資料を蓄積した教育コンテンツ「@発見島Movie」を活用。その様子をビデオカメラで撮影し、10人の児童の集中度や授業参加度を計測した。

 「発言したり、手を挙げたらプラス」「時計を見たり下を向いたらマイナス」といった基準をあらかじめ設定し、生徒の集中度を1分ごとに採点。複数の教師で採点した結果を平均した。

 教師がプロジェクターなどでコンテンツを提示したシーンでは、多くの児童で集中度が上がった。また、普段はほとんど授業に集中しない児童も、コンテンツを利用した授業なら、集中があまり途切れないという結果が出た。

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 同様な実験は全国の小中学校12校で行った。コンテンツを使った学習の後のアンケートでは、その科目を「好き」と答える生徒が増えた。学習意欲や理解度については、有意な差は現れなかった。

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 「ITを活用すれば学習効果が高められると期待する教師が多い一方、現場へのIT導入はあまり進んでいない」――メディア教育開発センターの清水康敬理事長はこう話し、ITを活用した教育効果を実証する必要を訴える。「教育へのIT導入を考える際、『何のために』という部分をクリアにしないと予算化できない」(清水理事長)。今後も実証実験を進め、教育現場へのIT導入を進めたいと話した。

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